さんじゅうなな ページ37
「うけ、いれる……？」
マスターはコクリと頷く。その瞳はホークスの瞳の奥にある、あるひとつの確信を付いていた。
「貴方はAを想っている。そばにいて欲しいと想っている。
でも本当にそれだけ？」
ホークスは口を紡いだ。そしてしばらく考え込んで、ふっと力を抜いたように息を漏らす。
「……分かった、素直になるよ。
昔から笑って隠し振る舞うのだけは得意だったんだけどね、相手がAなら、隠し通し続けることなんて出来ないか」
悲しげに笑みを浮かべ、「ありがとう、色々と」とマスターに別れを告げる。ホークスは何かを得たような満足気な表情になって、マスターに目をむけなおす。
「いい報告、待っててよ」
次の日の夜。
ホークスはAを呼び出した。ひとつの小さな箱だけをポケットに潜ませ、ゴーグルも耳あても外して事務所の最上階に2人はいた。
「綺麗な街並みですね」
Aは顔を合わせずにそう呟いた。深い夜の街、ネオンが輝き車の光が動き続ける街並みをただただ見下ろしていた。
5分程、お互い何も話さなかった。時々風が吹いて、2人の髪の毛を揺らす。
「俺さ、付き合うとか好きとかそういうの、分からなかったんだ」
ホークスは街並みを見下ろしたままそう告げた。
「結婚ならわかるよ。法的に2人が夫婦として認められ、浮気したりしたら慰謝料を請求できる。
でも付き合うってさ、法的なものに守られている訳でもないし、浮気しても慰謝料は請求されない」
声を僅かに上擦らせながら、平坦な声で続ける。Aは何も言わない。
ホークスはゆっくりとAの方へ顔を向けた。
「Aのことが、好きだ」
初めて、今日、Aはホークスの目を見た。
「ずっとそばにいて欲しい。
誰のそばにも行かないで欲しい。
ずっと俺のそばにいて欲しい。
俺の横で笑ったり、怒ったり、悲しんだり、色んな表情を見せて欲しい。
Aを幸せにしたい。何があっても。
この感情が、俺の"好き"と言う感情だって気づいたんだ。
だから、これからは俺の──」
ホークスの腕を引き、Aは彼を抱きしめた。強く、強く抱きしめた後に、
「私も、同じ」
頭を軽く抑え、Aは自分の肩にホークスの額を押し付ける。
「ずっとずっと、貴方がいてくれたらと思っていた。
いつか、あなたと私だけの世界が現れるって、そう信じてたの」
Aは小さく笑いながら「ねぇ、聞いてくれる？」とホークスと目を合わせた。
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桜芽杏(プロフ) - えだまめさん» ひぇ〜嬉しい……！！ありがとうございます！！実はガチの趣味で書いていた物をその場のノリで載せ始めたので、こうして好きと思われて読んでくださることにとても喜びを感じます……！クライマックスも近いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい！！ (2020年4月18日 18時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 好き…………好きです…………ちょっと不器用なホークスも可愛いのにカッコイイ夢主も雰囲気が独特なお兄さんもそれぞれを表現している桜芽杏さんの透明感のある文章も全て好きです応援しています…… (2020年4月17日 21時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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