にじゅうく〜 ページ29
「……喜んで、行きますよ」
ニコリと笑ってビラを広げてみせる。
ホッと下ように肩の力を抜くと、ひんやりとした手がホークスの頬に当てられた。
「え、何？」
「別に……ただ」
顔と顔を近づけて、目を細めた。
「さっきの可愛い顔、逆光でよく見えなかったから」
その言葉を聞き、ワンテンポ遅れてホークスはAと距離をとる。
「ちょ、ちょっと！いきなり変なこと言わないで！？」
「あはは！うん、いつもの啓悟くんですね〜！それではお先に失礼します〜」
Aの姿が見えなくなり、足音も聞こえなくなった頃にホークスはその場にしゃがみ込んだ。
深くため息を残しながら、両手を自分の頬に当てた。
「……俺がもうちょい背が高ければ良かったのか……？」
別に関係ないか、と再度ため息を漏らす。
秋祭りのポスターを見かけた時、真っ先にAの着物姿が目に浮かんだ。
2人は成人式には出なかった。それに祭りや行事ごとも行ったことがない。どちらもこれまで「行こう」なんて言う空気感ではなく、ただ目標に向かって走ってきていたからだった。
(着物姿で来てくれないかな。いや、来てくれるわけないか)
そんな事ばかり考えながら自分のデスクに戻り、鍵付きの引き出しを開ける。
そこには先日買った琥珀色の宝石か石か分からない鉱物と、2年前からAに貰い続けているクリスマスプレゼントのブレスレットが置いてあった。
そのブレスレットをヒーローコスチューム姿のまま付ける。日は沈みきり、ホークスのデスクの上にある間接照明しか光源はなく、ただその光を反射するブレスレットを見ていた。
『そんなにニヤニヤして、恋人からのプレゼントですか？』
サイドキックか、同期のヒーローだか、誰かに言われた言葉を思い出す。
恋人。
自分には縁のない話だと思っていた。いや、きっと今もそう思い込んでいる。
「恋、ってなんなのかねー」
一緒にいるとドキドキしたり、触れたくなる気持ちか。
キスをしたいという気持ちか、ずっと一緒にいたいという気持ちか。
はたまた一緒に死にたいと思える相手か。
好きという気持ち、恋という気持ちが、世間一般ではどの基準で言われているのか、彼には検討もつかなかった。
(……少なくとも俺は、Aと一緒に世界を変えたいんだろうなぁ)
シルバー色に輝くブレスレットは、ホークスにとっての宝物だった。
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桜芽杏(プロフ) - えだまめさん» ひぇ〜嬉しい……！！ありがとうございます！！実はガチの趣味で書いていた物をその場のノリで載せ始めたので、こうして好きと思われて読んでくださることにとても喜びを感じます……！クライマックスも近いですが、どうぞ最後までお付き合い下さい！！ (2020年4月18日 18時) (
レス) id: 4e2ed4ed51 (このIDを非表示/違反報告)
えだまめ(プロフ) - 好き…………好きです…………ちょっと不器用なホークスも可愛いのにカッコイイ夢主も雰囲気が独特なお兄さんもそれぞれを表現している桜芽杏さんの透明感のある文章も全て好きです応援しています…… (2020年4月17日 21時) (レス) id: 4f7195255d (このIDを非表示/違反報告)
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