八入 ページ8
じっとマイクの目を見つめたあと、小さな声で「そっか」と呟いた。
イレイザーは顔色一つ変えず、二人の様子をじっと見つめていた。
そこでドアががチャリと開き、先程この部屋まで案内してくれた女性の方が不安げな表情で顔をのぞかせた。
「あ、あのー……マイクさん、イレイザーさんからお話お聞きましたか？」
すぐにマイクは立ち上がり、
「自分が引き取ります」
と立ち上がった。驚きながらも女性は、少し嬉しそうに「そ、そうですか！ では院長に知らせてきます！」とその場を去った。
「マイク、お前正気か？ ヒーロー活動しながら子育て出来ないと言っていたのはお前だろ」
背を壁から離しながら、イレイザーは二人に近づく。その目は疑心暗鬼を表していたが、マイクは動じる様子はなかった。
「でもよォ、俺は考えちまった。目の前にいるこの子が誰にも愛されない未来を。それなら俺が愛してやりたい」
「もしかしたら、お前よりもこの子を愛せるやつが現れたかもしれないぞ。それでも本当にお前は彼女を育てられるのか」
マイクは優しく少女の頭を撫でながら、小さく微笑む。その笑みには自信と、同時に少女に対する安心感を与えているんだとイレイザーは感じた。
「ああ。そんなこと、俺もお前も考えれなくするくらい愛情を込めてやるつもりだ」
いつになく真剣なその表情を見て、イレイザーは肯定した。
「わかった、できる限りそばにいてやれよ」
それから数時間、手続きや孤児引取りの際の注意を受け、明日にはその少女はマイクの家へと来ることになった。
その際、孤児院の女性が眉をひそめながらマイクにこう言った。
「あの……お手間をかけさせるかもしれないのですが……この子に名前をつけてあげて欲しいのです」
「名前？」
マイクがそう繰り返すと、少し離れた部屋の隅で寝ている少女に目を向けた。
「あの子、私たちがつけた名前を拒むんです。色々な名前で呼んでみては気に入るかと試しては見たのですが……どうも上手くいかず」
マイクは隣にいたイレイザーに目を合わす。イレイザーは、お前が決めてこい、と言わんばかりに少女の方へと視線を向ける。
女性と向かい合って座っていた椅子から立ち上がり、寝ていた少女に声をかける。
何回かは考えたことのある、自分の子供の名前。けれどいざとなると、どんな言葉を付ければいいか分からなくなる。
そして少女の瞼は上がり、目が合った瞬間、一つの名前が頭をよぎった。
「A」
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紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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