七夜 ページ7
一度状況を整理し直したマイクは、恐る恐るイレイザーに問う。
「もし……俺たちがあの子を引き取れなかったら？」
「他の施設に移されるだろうな。まぁ、この調子だと一週間に一度か、もしくはそれ以上の回数で彼女の寝床は移り代わって行くことになるだろう」
「……とは言っても、俺たちはヒーローだぜ？ たとえ俺たちのどちらかが引き取ったとしても、彼女を育てる時間も、愛を与える時間もない」
それも含めての相談だよ、とイレイザーは再度ため息をつく。
「他のヒーロー……じゃなくてもいい、あの子のことを理解してくれる人に引き取ってもらうのは？」
「それも検討しているらしい。が、彼女の顔写真を見ると、全員声を強ばらせるか表情が引きつって話が延期になるらしい」
二人の間に沈黙が走る。静かに脈打つ心臓の音と、どこからか響いてくる時計の音だけが二人の聴覚を刺激していた。
「……本人に直接聞いてみる」
その沈黙を破ったかと思えば、マイクは間髪入れずドアノブに手をかけ部屋に入った。
「おい、成長速度が早いと言っても、相手はまだ子供だぞ」
するとさっきまでソファでちょこんと行儀よく座っていた少女は、小さく丸まりながら眠っていた。
音を立てないように近づき、マイクは少女と視線を合わせるように腰を下ろす。
ゆっくりと手を伸ばし、顔にかかっていた長い前髪を優しく払った。
「……マジかよ」
その左目には、根が張っているように血管が浮き出ていた。
マイクの言葉に気づき、ゆっくりと瞼を上げる。そこには、右目のようなクリクリとした可愛らしい眼ではない、瞳孔だけの赤い瞳が存在していた。
パッとマイクは手を下ろすが、少女は気づいていたようだった。体をゆっくり起こしながら、静かに尋ねる。
「こわい？」
彼女のか細い声に、マイクは迷うことなく答える。
「俺たち、怖いものは見慣れてるんだ」
少女は「そっか」と小さく呟いた。遠くで二人を見ていたイレイザーの方へと顔を向けた後、またマイクの方を向き直ってこう言った。
「マイクはわたしのパパ？ それともわたしをころす人？」
ころすひと。
その言葉を聞いたあと、イレイザーは息を飲んだ。なぜ、その言葉が出てきたのか分からない。
マイクは静かにその言葉を聞いた後、短期間でここまでコミュニケーション能力が上がったことに対して驚きながらも、優しく微笑みかけた。
「お前のパパさ」
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紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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