六媒体 ページ6
「えーっと……お、あったあった。これが水だ」
少女の前にちゃぷちゃぷと水を揺らしながら見せると、少女は「おみず」と呟いた。
「お、なんだ、知ってんじゃねーか」
「おみずと水は一緒なの……？」
マイクはハッとして、再度気付かされた。
あの赤子の姿から数日しか経っていないのに、これほどの言語能力と急成長。しかし、この子はまだまだ世の中を知らぬ赤ん坊だと言うことに。
「そうだぞ」
「どうしておみずと水は一緒なの？」
「えーっとな、お水はもともと水に、丁寧語のおが付けられて……」
マイクがそこまで言った時に、扉が開いた。マイクと同じようにヒーローコスチュームを着ていたイレイザーが、怪訝そうな顔をして少女を見つめていた。
「おいマイク、その子……」
「ああ、あの時の赤ん坊さ」
少女は小さく首をひねると、「イレイザー？」と声を出した。
「そうさ！ こいつがイレイザーだ！！」
なんでお前が言うんだよ、と言いたげな顔をしながらもイレイザーは少女に近づき、視線の高さを合わせる。
「お前、覚えてること全部話してみろ」
「ちょ、おま、いきなりそんなこと聞くなんて外道にもほとがあるだろ！！」
うつむく少女の隣でマイクはイレイザーを止めようとしたが、少女はマイクのことも気にせずイレイザーと目を合わせた。
「……あたたかい水、くらいところ、あと、おとうさんとおかあさん……あと、あとは……あとはね」
声が震えていく少女を見て、イレイザーは「もういい、ありがとう」と言葉を止めさせた。
「少しここで待っててくれるか？ すぐ戻る」
イレイザーは少女にそう声をかけ、またうつむいた少女はゆっくりと首を縦に振った。
半ば無理やりマイクを外に連れ出し、扉を静かに閉める。イレイザーは小さくため息をつきながら壁に持たれた。
「……ここの院長に、あの子を引き取って貰えないかと相談を受けた」
マイクは色つきサングラス越しに目を細め、不快感を表すように声色を変える。
「それは、アイツがバケモノ地味た個性を持っているからか？」
「それも勿論ある。だが、それ以上に並外れた成長速度と人間離れした外見だ」
外見？ とマイクが言葉を繰り返すと、イレイザーは小さく頷きながら言葉を続ける。
「ああ、さっき写真を見せてもらったが、彼女の左目は前に戦った怪物の目と同じものだった」
マイクはその言葉を聞いて、さっきまで隣にいた少女の姿を思い出した。長い前髪はきっとそれを隠していたのだと。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 378人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
