60☆伸也さんの秘密 ページ10
「は、はい……」
気まずそうにAが答えると、
邦子はさらにこう言う。
「私が来ても意味がないって、
分かっちゃいるんですけどね」
「そ、そんな……」
「ここで待っていたら、伸也がふらりと帰ってきそうな気がして。そんなことないのにねぇ」
あっけなくそう言われ、
Aは返す言葉もない。
「…………」
「それに、伸也は電光石火時代が、
それは大好きで……。
あの子、小さい頃は、お化けとか幽霊とか、他の人に見えないものが見えていたみたいで、よく独り言を言う子だったんです。
それでまわりの子から敬遠されていて……。
でも、あるとき電光石火時代を始めたら、
そのおかげで友だちがどんどん増えて、
次第に、伸也が独り言を言うこともなくなりました。
だから伸也は、
電光石火時代をとても大切に思っているんです」
「…………」
ぽつりぽつりと邦子が漏らす言葉に、
Aは静かに耳を傾けた。
他の人に見えないものが、見えていた……?
それってまるで……。
「ここに来れば電光石火時代もあるし、
少しでも多く、伸也のこと思い出せるから……」
Aは邦子の顔を見て、
少し考えたあと口を開いた。
「ぜ、絶対とは言い切れませんけど……」
「え……?」
「伸也さんは……
消える現象の謎は、解いてみせます……!」
邦子はその言葉を聞いて、
Aを見つめ返した。
「Aさん……」
すると、続けてトウマもこう言う。
「伸也さんのお母さん、僕が保証します。
この子は絶対、伸也さんを見つけてくる。
だって、この子も伸也さんと同じ、
電光石火時代プレーヤーなんです。
って……ごめんなさい……
気休めにもならないこと……」
申しわけなさそうにそう言ったトウマに、
邦子は首を横に振る。
「い、いいんです……。
私、このゲームセンターの人たち……電光石火時代好きの子たちに、気苦労をかけてしまっているみたいですね」
邦子はカバンの中から、
電光石火時代のカードを一枚取り出した。
きっと、伸也が落としたというカードなのだろう。
「これ……伸也が大切にしていたカード。
それから、これも……」
そう言うと邦子は、
カバンから別の何かを取り出した。
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作者名:惠里子 | 作成日時:2019年7月30日 19時