霊験姫と夢幻郷【オリジナル】 (ページ5)

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___「凰寵様。

姫君が御到着されました。」

『以外と早かったではないか。
其奴(そやつ)の両親と共に宮殿の広間へ案内しろ』

「畏まりました。
御二方の準備も整っておりますので、広間へ案内致します」

『…嗚呼』

…この世には必要不可欠な存在である霊験。

元々は妾達七神皇の曾祖父(そうそふ)がこの世界を霊験と取り仕切っていた。

霊験は生まれ持った神にも届く力、才能が認められ妾達の傍に仕えることを許されている。それが普通の霊験とは違った…それよりももっと強大な力を持つ霊験の姫なら尚更の事。

今回はあまりに霊験の転生が遅れていた為、不安も少しあったが…あの小娘が結果的に生まれてきた。それも、今までの霊験の姫達よりも強い霊力を宿して…。

『―――…玉響(たまゆら)の生命(せいめい)であるからこそ…
その身に宿す霊力は強大であり、どんな荒れ地にも潤いを恵み人々に幸福を与える…』

幼い頃から父に霊力とはどんな者なのか教え込まれてきた。

そんなのを知って何になる…ずっとそう思っていた。

だが、今は違う。

雲雀(うんざく)と朱雀(すざく)の父と母から授かった妾自身の名を捨て、四代目の凰寵に君臨した。

凰寵と言う名は妾にとって誇りであり、縛りである。それ故その縛りを自ら強く縛ってこの名を背負っていかねばならない。中真柱なら他の神々の名も守らねばならない…。

だから…神の補佐、
霊験を傍に…居させなければ…。

この世界も終焉に過ぎない。

_____『はっ…こんな姿形(すがたかたち)をした私を見てどう思うのか…』

見られるのが怖い。

そう、心の底で思っている自分が情けない。