20 ページ22
「 僕に何か言うことは?」
「 腹減った」
「 ラウンジでの出来事で反省すべき点は?」
「 この際フルーツでいいから寄越せ」
「 き!い!て!ま!す!か!」
両頬を抓られて頬が横に伸びる。 痛くも痒くもない。
アズールは俺に謝罪の言葉……いや、そういう態度を見せて欲しいんだろうけど生憎するつもりは一切ない。
俺は今日昼間からあのツンツン頭のせいで少々気が立っているんだ、まだ半日も経っていないのに忘れるわけが無い。
食事を制限? バカ言うな、生きる上での重要なエネルギー摂取を削ったら俺をこんなちっぽけな首輪じゃ制御できなくなるぞ。 なんの経緯があって付けたのか教えてくれないから読み取ることすら出来ないが……
「 支配人であり主人である僕を食べようとするなんてどういうつもりですか」
「 アズールが主人?」
支配人なのは当たっているが、主人になってもらった覚えなど1ミリもない。 どちらかというと俺の主人はフロイトとジェイド、ウツボの双子だ。
「 こんな悪どい主人は嫌だ。 主人なら飯ぐらい寄越せ」
「 口を開けば飯……はあ、なんとも嘆かわしい生き物だ……これでも食べてなさい」
「 えー、これモズクだろ。甲殻類とかヒメウミガメとかさあ」
勝手に同情の眼差しを向けられたが、俺食べること以外に興味ないら別に可哀想でもないだろ。 寧ろ生態を理解出来ていないアズールの頭の方が可哀想に感じてくる。 俺はベジタリアンでもないから肉が欲しいのに、毎回何処かしらで拾ってきた物ばっか手渡すなよ。
***
「 全くあのワニと来たら可愛げのないっ……!」
上着を脱ぐと乱雑にベッドの上に放り投げた。 ラウンジでは要らぬ注目の的になり、薬は全然出来上がらない。
念の為に僕の側から離れないように伝えれば、「 飯」と強請る姿はまるで子供同然。
少しは可愛らしい部分でも持ち歩いていないのか。 最初からそうだ、ワニの姿では男か女かの区別など付かない上に一人称が「 僕」と来たら誰だって男だと思うだろう。
なのに中を覗けば女でした。 なんてオチ。
「 昔の方がまだ可愛げがあったというのに、成長するにつれて食い意地が張りすぎなんですよほんっと」
身長ばかりグングン伸びて今では自分の方が大きいが、その差は殆どないぐらい彼女は大きい。 絶対に食べてばかりいるからだ。
「 せめて僕達といる時だけは振る舞いを変えて欲しいものですが……まあ、無理でしょう」
153人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛(プロフ) - 蒼井とーるさん» はじめまして、コメントありがとうございます!夢主イラスト可愛いと言って頂けて嬉しいです( *´꒳`*)ゆっくりではありますが更新頑張ります!ありがとうございます! (2021年12月1日 18時) (レス) id: 1c0863e534 (このIDを非表示/違反報告)
蒼井とーる(プロフ) - 夢主イラスト、とてもかわよくて推せます!性格も最高に面白くて大好きです!頑張ってください! (2021年12月1日 4時) (レス) @page5 id: f4c569577f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ