2話 ページ3
仲間に島を離れる事を説明し､ 雷門の制服を身に纏ったAは､ 翌日の早朝から船で稲妻町へ向かった｡
段々小さくなっていく島を眺めた後､ 端末に映る雷門と帝国の試合｡
シュートを決め､ 勝利に喜ぶ一年生の選手達｡
その中に映る､ 一人の少年「剣城京介」を視界に捉え､ まるで恨む様に睨み付けた｡
「ゴッドエデンから抜けた挙句、フィフスセクターから離反して革命とかくだらない事をしてる雷門の仲間になるなんて＿＿許さない。」
薄く笑みを浮かべる剣城を一瞥した後､ 端末の電源を乱雑に切って鞄に仕舞った｡
低いトーンで呟いたその言葉は､ 海の波の音に掻き消された｡
.
「わっ……流石は名門校､ 大きいわね。」
数時間､ 稲妻町に足を踏み入れ雷門中へ向かうと､
大きく聳え立つ雷門中の建物が姿を現した｡
予想以上の大きさに､ 思わず声が漏れてしまった｡
稲妻マークを眺めた後､ 職員室に向かおうと校門を潜ると元気な少年達の声が耳に届く｡
少し歩んでいけば大きなグラウンドが現れ､ サッカー選手が練習に励んでいた｡
足を止めてグラウンドを眺める｡
その中には､ 勿論彼も居る訳で｡
「──行くぞ松風､ この俺からボールを取ってみろ！」
「っ、剣城……！」
そう､ 剣城京介だ｡
雷門のユニフォームを着て練習に参加している｡
その姿から､ 本当に雷門の一員になったのかと､ 改めて思い知った｡
剣城は松風という少年に向かって走ると､ 松風から大きな竜巻の様な強烈な風を纏う｡
その風に剣城は巻き込まれるが､ ボールを奪うことに失敗して松風はその場で倒れた｡
「……あの子の必殺技でも完成させようってところかな。」
まぁ､ どんな技が出来るのかちょっとだけ期待しようかな｡
そう思いながら二人を眺めていると､ 剣城がふとAの方へを顔を向けて目が合う｡
すると剣城は目を見開いて驚いた表情を浮かべた｡
「天空ッ……！？」
「(まさかこんな早く見つかっちゃうなんて｡ まぁ此処を通った私が原因なんだけど｡)」
心の中で苦笑いを浮かべれば､ 剣城に微笑みを向ける｡
剣城に睨まれるも､ 止めていた足を動かして振り向くことなく職員室へと向かった｡
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作者名：絢那 | 作成日時：2020年10月15日 14時
