3話 ページ4
「じゃあ、HR前にまたここに戻ってきてね」
「はい、わかりました。」
職員室で先生と話をして数分後。
HRまで少し時間があるということで、学校内を探索しようと思った。
まず向かう先はサッカー部の建物であるサッカー棟。
サッカー棟の建物がどういう形をしているのか、場所は何処にあるのか。それはもう既にわかっていた。
教官である牙山に貰った資料に雷門全てについて書かれていた。
船に乗っていた時に資料全てに目を通し、覚えられる所は覚えた。
覚えた中にサッカー棟に関する情報もあるのだ。
「この時間はもう練習終わってる頃だろうし……見たらすぐに戻ろう。部員と出会すなんて避けたいわ。」
Aはそう小さく呟いて校舎裏にあるサッカー棟へと足を進めた。
.
「見付けた。やっぱり名門校は凄い……。」
校舎裏を出れば、目の前に大きく聳え立つ建物「サッカー棟」がそこにあった。
サッカー棟を数秒眺めた後、すぐに戻ろうと踵を返した。その時。
突然後ろから腕を引かれてコンクリートの壁に体を押し付けられた。
背中を打って痛みに顔を少し歪ませて、衝撃から閉じていた目をゆっくり開ければ、目の前には青髪で逆毛の髪にポニーテール、揉み上げがくるんとしている少年が。
「っ……随分と荒い挨拶ね」
「お前、何故ここに居る！」
正体は剣城京介だ。
部員と出会すなんて避けたかったが、それは叶わず剣城に見付かって捕まってしまったらしい。
剣城はAを壁に押し付けたまま睨み付ける。
Aは動じず、剣城を見詰め返せば小さく口角を上げる。
「あら、貴方だって薄々気付いてるでしょ？私が何故、此処に来たのか。」
「ッ……雷門を潰してでも俺をゴッドエデンに連れ戻す。……そんな所か。」
「ご名答。」
くすり、と小さく笑えば剣城の手首を掴んで無理矢理でも離れさせれば、そのまま彼に微笑む。
「貴方が戻ってきてくれるなら、雷門には手を出さないわ。貴方が随分と信用している松風天馬、その他の部員が傷つかなくて済むんだから。……ね？」
小首を傾げて問い掛けた。
しかし剣城は話に乗ることなく直様断った。
「断る。」
「……。」
「俺はサッカーと真剣に向き合うと決めたんだ。もう間違えはしない。」
サッカー部も潰させはしない。
そう一言添えて、剣城はAから離れてその場を離れた。
「ふーん……私がトップシードだって知っておきながら、そんなこと言うなんて。」
続く (更新停止中)
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作者名：絢那 | 作成日時：2020年10月15日 14時
