1話 ページ2
日が暮れ、 辺り暗くなり始めた頃。
此処は神の楽園、 通称「ゴッドエデン」。
その小さな島で、 とある少女は一人海を眺めていた。
潮風が吹き、 髪を靡かせた時。
後ろから一人の少年が歩み寄り、 少女を背後から包み込むように抱き締めた。
少女はくすりと小さく笑うと、 少年が回してきた腕にそっと手を添えて口を開いた。
「随分と甘えん坊じゃない、 “白竜“。」
「……A……。 」
白竜と呼ばれた少年は、 Aという少女を強く抱き締めた。
まるで離すものか、 と意を込める様に。
「どうしたの? そんなに抱き締めてきて。」
「……聖帝からの命令で、 Aを雷門に送り込むそうだ。」
「私を?」
「嗚呼。 」
何故、 突然Aが雷門に行く事になったのか。
不思議そうに思っていると、 Aの思っている事が分かったように白竜は答えた。
「剣城、 が……此処から逃げ出しただろう。 剣城を連れ戻す為に、 Aを雷門に……と。」
「嗚呼、 なるほどね……そういう事か。」
「っ……行かないでくれ、 A。」
弱々しく呟きながら更に腕に力を込めて抱き締める白竜。
白竜は幼い時から、 Aの傍に一番長く居た。
二人が離れる事なんて、 今まで一度もなかった。
だからなのか、 いざ離れる事になると寂しさを酷く感じた白竜は、 「行かないでくれ」という言葉を口にしたのだ。
Aは振り向くと、 白竜の綺麗な銀髪を優しく撫でる。
「私だって島から出たくない、 白竜達と離れたくない。 でも聖帝からの命令でしょう? 流石に断る事は出来ないから。」
「っ……ならば早く剣城を連れ戻せ。 」
剣城なんて正直どうでもいいがな、 と付け足しながら白竜はAの頬に軽く唇を当てて口付けをする。
Aは擽ったそうに小さく肩を跳ね上がらせながらも、 小さくこくりと頷いて柔らかに微笑んだ。
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作者名:絢那 | 作成日時:2020年10月15日 14時