クラスに国王様が来る【アンダーバー】

体育祭 ページ27

風が吹くこの大地、皆はこの瞬間を今か今かと待ち望むように立っている。なびく旗、集まる熱気……

「お前ら、準備はいいか！？」

体育委員長の掛け声に、その場の人たちが空気を白熱させて声を上げる。

「アンダーバー、ついにこの日がやって来たな！」

トモがイキイキとした明るい笑顔でアンダーバーの背中を強く叩く。その勢いのままに倒されるアンダーバーを、カイが支える。

「トモ……お前はいいだろうな、体育会系男子」

カイは至って無表情のままシートへ戻っていった。トモは最初の100メートル走の招集へと向かった。アンダーバーは、苦虫を潰したような顔をしている。それにはしっかりと理由があり……

「ダバ子ちゃん楽しみにしてるよ！」

「お前ならできるから！」

……皆がはやしたてるようにして、アンダーバーを女性のように呼んでいる。
そして彼が着ているのは、黒とピンクを基調とした、フリルが沢山飾られているゴシック調の服。頭には金髪のロングヘアに黒いリボン。

「お坊っちゃん……メイドさんですか？」

「……どう、にあってる？」

妙に出来の良いそのコスプレに、ジョンも思わず笑いを堪えられなかった。どこか嬉しそうにしているのも、気のせいでは無かった。

「執事に送ったら喜ぶでしょう」

ジョンは笑顔を隠さずにカメラを向けた。シャッター音が止まらない。

「その格好で、リレーのトップバッターとして走るのですね？」

「コスプレリレーがあるだなんて聞いてない……しかもなんで僕が？」

「ほらほら、いつもの調子はどこへ無くしましたか？フリーダムに振る舞えば、何も怖くありませんよ？」

そのジョンの激励により、彼は覚醒することとなった。

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