別れ -S side- ページ27
グルングルンと目眩のような感覚の中で
どうにか思考回路を正して声を絞り出す。
「ちょっと待って。頭を整理したい。こっちの事務所辞めて、アメリカのエージェントに移ると。で、向こうで女優の仕事を続ける。」
『そう』
「え？ずっと考えてたってことは、夢として持ち続けてたってこと？」
『……うん』
「知らなかった」
『そう…だよね。言ってなかったと思う』
そんな夢、聞いたことあったか？
またアメリカで映画に出たいだなんて
一言も言ってなかったよな？
俺にずっと嘘ついてのか？
単に俺が気づかなかっただけ？
どちらにせよ、暫く遠距離になるのか…
2人の将来について考え始めていて
両方の親にも会ったし同棲も順調だし
ここ数年でタイミングが合えば…と
本気で計画し始めていた最中だったから
これは俺にとって大誤算。
「どんくらい行くつもり？」
『最低2年。うまくいけば…戻らない』
今なんて？
戻らない？
日本に…帰るつもりはないってこと…？
「戻らない……？どいうこと？は？何？え、じゃあ俺とは…」
『待っててほしいなんて言わない。私のワガママに、翔を付き合わせることなんて出来ないから』
「いやいや、お前、勝手に決めんな！俺は待てるよ。全然待てる。Aが待っててって言うなら、いつまででも待つし、弾丸でもアメリカまで逢いに行くし、毎日電話するし…」
『翔…そんなの……無理だよ…』
「やってみなきゃ分かんねぇじゃん！最初から諦めんのかよ？！たったの2年だろ？！」
『……』
「遠距離から始めればいーじゃん！それでダメなら……そん時は諦めるしかねぇだろうけど…」
『……』
「何とか言えよ……それとも、そもそも2年も俺のこと想い続けらんねぇと思ってんじゃねぇの？」
『そうかもしれない。ごめんなさい…』
「そうかもって、お前…。マジで言ってんの？…本気で終わりにするつもり？俺と……別れるってこと？」
ドクンドクンという心臓の音が
はっきりと聞こえる。
言葉にしてみて
初めて現実味を帯びる”別れ”の一文字。
俺たちには絶対訪れないと
そう確信していたのに。
頼む、Noと言ってくれ。
冗談だよって、びっくりした？って、
いつもの笑顔を見せてくれよ。
それなのに。
目の前のAは無情にも
毅然とした態度で
真っ直ぐに俺の目を見て
迷いなく頷いた。
December -S side-→←彼女の決断 -S side-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 733人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Love(プロフ) - ゆみさん» ゆみさん、コメントありがとうございます！楽しみにしていただいているなんて、とても嬉しいです☆頑張って更新していきますので、最後まで見届けてくださいね！ (2021年2月27日 9時) (
レス) id: 25cd7877c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - すごくら大好きで、いつも投稿楽しみにしています！できれば最後は最後は2人がハッピーエンドの結末だったらいいな〜と思ってます…。(勝手にすみません。)お体に気をつけて頑張ってください！ (2021年2月27日 0時) (レス) id: 6fe33ce8d1 (このIDを非表示/違反報告)
Love(プロフ) - Mexxさん» Mexxさん、嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って更新しますので、お待ち頂けたら嬉しいです☆ (2021年1月23日 0時) (レス) id: 25cd7877c3 (このIDを非表示/違反報告)
Mexx(プロフ) - 私もすごく大好きな作品です！続きすっごく気になります(^^)更新楽しみにしていますので、お体に気をつけて頑張ってください☆ (2021年1月22日 20時) (レス) id: e83b85c52c (このIDを非表示/違反報告)
Love(プロフ) - こっちゃんさん» こっちゃんさん、ありがとうございます！！スロー更新で申し訳ないですが、最後までお付き合いください！よろしくお願いします！ (2021年1月5日 22時) (レス) id: 25cd7877c3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Love
| 作成日時：2020年12月23日 0時
