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"ーーーA…"
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「…っ、智くん…っ！」
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眺めのいい窓の外から日差しが差し込んでいる。
ガバッと起きて横を見るともうそこにあなたの姿はなかった。
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「…っ」
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まだ覚醒しきってなくてボーッとする頭の中、洗面所に行き顔を冷たい水でビシャッと洗う。
「……」
鏡に映った顔の濡れた私の鎖骨の下には、昨日の夜彼がつけた赤い花が咲いている。そっと撫でるとチクリと痛む。
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智『うまっ、コロッケうまい！」
『ほんと？よかった』
智『また作ってよー』
『うん』
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ちゃんと智くんに私の気持ちを言って、相談しようと思っていた。
私は仕事を続けたい。せっかく掴んだこの仕事を手放したくない、と。
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『…智くん、あのね仕事のことなんだけ…』
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プルルルル…
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そんなときに机の上で鳴ったのは智くんのスマホ。
智『あ、ごめん。ちょっと待ってて。……はい、大野です…あ、はい』
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普段は緩いのに、仕事になるとスイッチが切り替わって何百人単位を簡単に動かせる智くんが好きだ。
…いや、好きだった。
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けど今はそれが辛い。
智くんが立派になるたび、私との距離は遠くなって
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智『じゃあそういうことで。はい。……ごめんA、何の話だっけ？』
『…ううん、なんでもない』
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それはもう私が手を伸ばしても届かない距離だと気付くのは、遅すぎた。
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作者名：みい | 作成日時：2016年12月3日 21時
