心まで 強くなれるよ ページ35
部屋に入った途端
やまとの足は止まる。
あたしの背中がぴったり扉にくっついてしまうぐらい
スレスレなところで止まって動かないもんだから、思わず背中を押した。
｢通れないんだけど｣
くるりと背中が振り返った。
『…どこ行ってたの』
｢色々。買い物とかあいつらへの土産の物色とか｣
『なんで早く帰ってきてくれなかったの』
まるで幼子のようなセリフ。
彼は真剣にあたしを見つめている。
心の底から寂しさを感じさせる目で。
あたしが居ない方が真にリラックス出来るのではないか。
いくら幼なじみとあっても同じ時間を共有しすぎたあたしがいれば
嫌でもその向こうにメンバーや裏方が見えてしまうかもと思ったから。
用意した建前は、その目に映されて一文字も出てこない。
｢…あたしじゃ、やまとを救えないから｣
出てきた本音は留まることを知らない。
醜いそれは理性を押しのけ、次々と彼の前に姿を現す。
｢あたしが支えたかった。あたしだけがやまとの側にいる存在でありたかった。
いつかやまとが元気になった時に、Aのおかげだって言って欲しかったから。
あの頃あたしにとってやまとがそうだったみたいに｣
じゃあ俺も死ぬよ。
そう言われた瞬間から、命を繋いでくれたのはずっとやまとだ。
自分が彼を必要とした分、彼にも必要とされたかった。
｢でもさ、同じ経験したからかやまとにどういう声かけていいかわからなくなった。
そんなこと言ってる場合じゃないのに。
真っ直ぐ言えるファンの子が羨ましくて、こんなこと考えてる自分にも嫌気刺すし｣
『何言ってんの』
気づけばやまととの距離は数ミリもなくなっていた。
背中に腕が回されて、ぎゅっと引き寄せられる。
『Aに救われてるに決まってんじゃん』
(( 俺が居るよ。ずっと居る。1人じゃないから ))
(( 何時でもいいから。死にたくなったら電話して ))
(( 死にたい？おっけー待ってろ、ケーキ買ってくからそれまで死んじゃダメね ))
やまとは、いつも欲しい言葉をくれる。
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яeu(プロフ) - ららみさん» ご愛読ありがとうございました。ありがたいお言葉をいくつも並べていただけて大変嬉しく思います。新作を出した際にはぜひ覗きに来てください☺︎ (7月31日 19時) (
レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
ららみ(プロフ) - めちゃくちゃ好みど真ん中のお話で毎日更新されるのを楽しみにしていました😵💫💞完結は悲しいですがお話が素敵すぎて幸福感でいっぱいです、、！💘💘💘次のお話も楽しみにしています🫶🏻💓 (7月31日 0時) (レス) @page45 id: e947e550b2 (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - おりさん» ありがとうございます。ゆっくりではありますが確実に更新していきたいと思っております。 (7月13日 8時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
おり(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。ご自身のペースで更新頑張ってください！ (7月12日 21時) (レス) @page25 id: 7292fb39fb (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - meloさん» 線香花火も読んでくださったのですね、随分時間が空いてしまったのにも関わらず読んでくださることに感謝です。ありがとうございます。 (6月28日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：яeu | 作成日時：2023年6月19日 20時
