LOVE

＿＿ ページ23

気温が上がり、日の出も早くなった。
空が明るみを帯び出した頃
やまとの寝息は止まる。



『…A』


｢おはよー、朝日昇るよ｣



運転中で顔を見られないのが惜しい。
顔色はよくなっただろうか。
何も浮かんでいなかった表情に変化はあるだろうか。



『……ずっと運転してんの？休憩は？』


｢いけそうだったしトイレ休憩だけ挟んでかっ飛ばした｣


『そう、なんだ。ありがと』



頭の上に手が乗って、優しく左右に振られる。
何とも思っていない奴であれば吐き気のする行為が
やまとだとまるで心が浄化されていくような気持ちになる。



少しだけ、いつも通りの彼が戻ってきた気がした。



高速道路を降りる前の最後のパーキングエリアに車を置く。
何時間ぶりに全身で外の空気を吸うやまとの真後ろで
丁度太陽が顔を出した。



｢日の出じゃん｣



ぐーっと固まった姿勢をほぐす。
ブルーライトに慣れたあたしの目じゃ眩しくて仕方ないなあ。



『…きれい』



そう。眩しいのだ。
彼にもあたしにも、この光は眩しすぎる。
あれが世界の全てに光をもたらすというのなら今すぐ。



今すぐ、綺麗な涙を隣で流すこの彼を照らして欲しい。
心がまっさらになるほどに焼き尽くしてくれたらいい。



｢綺麗だねえ｣



気付かないふりをして、あなたの後ろに回るから。
先頭を走ってきたあなたの後ろにはいつも沢山の人がいる。



やまとがやまとでなくなったとしても変わらないよ。
あたしはいつも、そばに居る。

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