検索窓
今日:48 hit、昨日:97 hit、合計:44,157 hit

聞こえなかった叫び ページ19

呼び掛けに1度として反応がなかったのは
初めてだった。



動画の編集が全て終わり、ゆうまにチェックを渡して修正を加え
いざ最終チェックへと意気込んで呼んだ名前。



いつもならあたしの声に食い気味に反応する彼が
2度3度呼べど何も発さない。
声を大きくしてもそこらじゅう歩き回って呼ぼうとも
どの部屋にいるかさえ分からない。



「やまとってどこにいんの?」


優「分かんねぇ。1個1個部屋見てったら?」


「えーめんどくさ…」


優「寝てんじゃね」



寝てんなら仕方ないけどさあ。
全く、これから寝るときはこの部屋に居ますって
張り紙してもらわなきゃ。



やまとー、おーいやまとー。
ガチャリガチャリ編集部屋から物置部屋から全ての部屋を開けてく。



どこにも居ない。
残るはあたし専用の寝泊まり部屋だけ。



さすがにここには立ち入らないと思うけど一応、ね。



「やまと?」



当然真っ暗な部屋の電気をつける。



パッと照らされた電気の下、見えた大きな体。



立っていた。
こちらに背を向けて、ただ立ち尽くしていた。
心臓と背筋を冷たいものが走り抜ける。
不気味としか言いようのない光景に足が固まり
話しかけるのも躊躇われた。



微動だにしないその背中からは何も読み取れない。
電気がついたのだから、誰かが入ってきたことは分かるはずなのに。



「やまと」



絞り出した3文字は宙に消える。
あと2歩進めば触れる距離にいても尚、返事は無い。



「…どうしたの、なんで返事しないの」



得体の知れぬ恐怖を必死に押し殺し、彼の正面へ回った。

__→←前兆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
294人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

яeu(プロフ) - ららみさん» ご愛読ありがとうございました。ありがたいお言葉をいくつも並べていただけて大変嬉しく思います。新作を出した際にはぜひ覗きに来てください☺︎ (7月31日 19時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
ららみ(プロフ) - めちゃくちゃ好みど真ん中のお話で毎日更新されるのを楽しみにしていました😵‍💫💞完結は悲しいですがお話が素敵すぎて幸福感でいっぱいです、、!💘💘💘次のお話も楽しみにしています🫶🏻💓 (7月31日 0時) (レス) @page45 id: e947e550b2 (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - おりさん» ありがとうございます。ゆっくりではありますが確実に更新していきたいと思っております。 (7月13日 8時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
おり(プロフ) - 楽しく読ませていただいてます。ご自身のペースで更新頑張ってください! (7月12日 21時) (レス) @page25 id: 7292fb39fb (このIDを非表示/違反報告)
яeu(プロフ) - meloさん» 線香花火も読んでくださったのですね、随分時間が空いてしまったのにも関わらず読んでくださることに感謝です。ありがとうございます。 (6月28日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:яeu | 作成日時:2023年6月19日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。