LOVE

前兆 ページ18

｢で、明日がViViの取材と撮影。
翌日がCanCamね｣



裏方組にスケジュールを伝えていた。
色んなことを同時進行していかなきゃいけない裏方は
今何を優先して動くべきかということを常に共有する。



この日のこの撮影は誰が着いてくのかとか、メンバーの体調やら
物品管理食材管理などありとあらゆる環境を整え
更に編集までするのだから正気じゃ何年もいられない。



｢とりあえずこんなとこかな…あとなんかあるっけ｣



あたしと身長があまり変わらないチビ後輩が恐る恐る手を挙げた。
珍しい、いつもなら元気よくはーいと言ってすぐ話し出すのに。



｢どうぞ？｣


ご｢あの…ちょっと気になるというか｣



更に珍しく小声である。



表情を見るに本当に言おうか言わまいか迷っているような感じだ。



｢なんかあった？｣


ご｢その、最近やまと先輩がおかしい気がして｣



その発言に真っ先に反応したのはぼんとおとべ。
うん、と同時に首を動かす。



｢ごめんあたしは分かんなかった。どんなとこが？｣



後輩から見てそう感じるのだから相当だろう。
なのにあたしは気づかないというところにも違和感がある。



ぼ｢ぼーっとしてんだよな｣


乙｢Aがいる時はそんなことないけど
がちで抜け殻みたいになってる｣


｢疲れてるってこと？｣



そりゃこんなに走り続けてる集団のリーダーが疲れないわけない。
やまとの抜け殻の様子もまあまあ見てきたつもり。



ぼ｢分かんない。本人に1回聞いたけどどうもないって言われて
それ以上聞けなかった｣



社長という肩書きを背負った疲労とストレスがやっと出始めたのか。
いくら人より強い心を持ってるとは言え人間なのに変わりない。



ただあたし自身が見てないし詳しい事情も分からない以上
やまとのその瞬間を見ないことには突っ込めない。



｢分かった。注意して見とく｣



裏方の基本は円滑な仕事のためのサポート。
メンバー1人の体調すら分からないようじゃ
そいつは間違いなく能無しだ。

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