保健室 ページ12
保健室は開いていたけど先生がいなかった。
治くんは私を壊れ物を扱うかのように優しく椅子に座らせてくれた。
『ごめんね、重かったでしょ』
治「軽すぎや。もっと飯食わな」
私たちは先生を待つことにしたけど、全く先生は来ない。
治「しゃーないな。俺が手当てしたる。」
『え、でも悪いよ!』
治「アホ。このまま放置しとったら益々傷口にばい菌入るやろ。そっちの方があかん」
私は大人しく治くんの言うことに従うことにした。
治「消毒液塗るからしみるかもやけどすぐ終わるからな」
と言いながら治くんは優しく傷口に消毒液を塗る。
手当てが終わって
治「もう無理すんなや」
後頭部に手を置いて治くんの身体に引き寄せられ、突然そんなことを言う治くん。
その言葉に涙が出る。
治くんといるといつも泣いてしまう。
治「なんや血の次は涙か!」
なんて、治くんは私をからかうけど私は感情的になって
ギュッ
治くんを抱きしめていた。
『怖かった...!手を離された時何も見えなくなって...持久走じゃなくても、いつかみんな私から離れて一人になるんじゃないかって...何も見えない状態で一人で走るのが怖かった...!』
誰にも見せたくなかった。こんな不安や恐怖で泣いてばかりの私を。情けないから。
だから治くんの前では耐えようと必死だったのに。
治くんのその一言で安心してか一気にその思いが溢れてしまった。
治くん私の背中に腕を回してギュッと抱きしめ返してくれた。
温かい...
治くんの体操服から匂う柔軟剤の香りが私に安心感を与える。
『ごめん、感情的になっちゃって...』
パッと治くんから離れる。
落ち着くと疑問に思ったことを聞く。
『どうして...ここまでしてくれるの?』
治くんは急に顔を真っ赤にしながら
治「最初は...あいつを少し懲らしめようって出来心やった...//」
14人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:うぃるうぃる | 作成日時:2022年1月15日 23時