仕立て*３ ページ37
何分か経過したころ、鬼龍先輩は見事な腕前で衣装をアレンジし終えた。あとは俺が着て、不備がないか確認するだけなのだけど……
「＿＿……あの、先輩」
カーテンで仕切られた更衣室の中から、顔だけを外に出して紅月の先輩方に呼びかける。
「一応、その……着替えたんですけど……」
「歯切れの悪い反応だな。まさかサイズが合わなかったか？鬼龍に限って、そんな凡ミスをするとは思えないが……」
「いえいえっ、サイズの方はばっちりなんです！だけど、ええっと、なんて言うか……」
なんとも言えない乾いた笑いが口から漏れた。先輩方は訝しそうに顔をしかめる。
「問題がないのなら、早くそこから出て来た方が良いのではないか？自分では気づけないことも、傍から見れば気づくこともある」
「神崎の言う通りだ。俺も自分でアレンジした衣装をAが着るとどうなるのか見てみてぇしな」
鬼龍先輩の期待の籠った言葉に、もうこれは腹を括るしかないと覚悟を決める。あ〜もうっ、どうにでもなれ！
気持ちとは裏腹に、体は拒絶しているようで、そろそりとカーテンを開ける。
「ど、どうですか……？あんまりこーいうのって気慣れてないんで、へ、変じゃないですか？」
自分で鏡を見たけれど、本格的なアイドルの衣装はまだ着た試しがないから、似合っているのか良くわからない。
「おお、よく似合ってんじゃねぇか。やっぱり装飾品に少し拘ったかいがあったな」
鬼龍先輩は満足そうに頷く。反応を見るに、似合っていないわけではなさそうだ。蓮巳先輩たちからも、同様に似合っているという言葉を貰えた。
「本当ですか？ありがとうございます！似合ってなかったらどうしようかと思いましたもん」
もう一度、全身鏡を見ながら最終チェックをする。
黒をメインにしているけれど、ところどころに淡い色合いのピンクや水色を差し色として使っているロマンチックな衣装に、つい目を奪われる。
もともとはフリルとリボンが多くて女の子が着るロリータっぽい印象だったけれど、男が着ても違和感がないよう程々に減らしてくれたようだ。……それでもまだ多い気はするけど。
ショートパンツもまだまだこの季節は寒そうだったけど、意外と大丈夫そう。ネクタイも曲がってないし、あとは……。
「あ、忘れてた！えっと、ここをこうして……よしっ、オッケー！」
つむぎ先輩から貰ったミニシルクハットを最後に髪の毛につけて、準備完了だ。
「A、もう用意はすんだか？そろそろ講堂へ移動するぞ」
蓮巳先輩に促され、俺は大きく返事をしてから講堂へと向かった。
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです！！素敵なお話をありがとうございました！もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー！！ (4月7日 0時) (
レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです！ (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです！是非！お願いします！ (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです！すごく楽しく読ませてもらいました！ (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです！受験勉強後回しにして(？)2日で読み終わりました！ぜひ！続編読ませて欲しいです！ (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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