大遅刻*1 ページ12
「はいっ、パン食べる?おいしいんだぜ!」
「えっと、うん? 昼食はもう食べたはずじゃなかったっけ?今放課後なんだけど……」
六限目の授業でつい居眠りをしてしまい、目を開けた瞬間にこの子──天満光、だったかな。まあ兎に角、その子の顔が目の前にあった。しかもパンのオマケ付き。
「うんとね、お腹空いてるんじゃないかなぁって思ってダッシュで買ってきたんだぜ!メロンパン好き?」
「あ、うん。好き」
「俺も好き!」
にかっ、と。お日様のように笑う。
うっ眩しい!えっ、今夕方だよね?!あっ無理無理。浄化される!
「はいドーゾ!」
目を輝かせながら手渡されたら、受け取らないわけにはいかん。
「ありがと。でもいいの? お前も好きなんだろ、メロンパン」
「気にしないで!Aちゃんのために買ってきたやつだし、俺はもうお昼に沢山パン食べたからお腹いっぱいなんだぜ!」
「そっか。わざわざ購買行ってくれたんだろ? あとでお金渡すな。いくら?」
「えーこれくらいいいのに!布教?ってやつなんだぜ。俺のオススメパンだから!」
いや、そんなわけにはいかないだろ。
「あっ。じゃあ後でお菓子あげる」
それなら文句ないだろ、といえば。「やった!お菓子!」と子供みたいに喜んだ。
因みに、いつもは名前にちゃんを付けるとぶちギレ案件になるが……この子の場合、誰にでもこの呼び方だから、癖なのかなって思ってる。だからセーフにした。
「つか、なんでここにいんの?今何時?」
「今? うーん、詳しい時間は分かんないだぜ。でもでも、もう放課後になって十五分くらいは経ってると思うぜ!」
オレも早くレッスンに行かないとなんだぜ、と能天気に笑う姿に、大丈夫かこの子は、と心配になった。危ない人に着いていきやしないだろうか。あまりにもバブだ。
「十五分か。もうそんなに経って──えっ、十五分?」
まってまって。
そうなると俺、大遅刻したことになるんだけど?!
確か今日のお手伝いは、蓮巳先輩の指示のもと小道具やら何やらを移動させる予定で……。あっどうしよう怒られる!!
「Aちゃん? 顔色が悪いけど、もしかしてお腹痛い? オレ、ダッシュで先生を呼んでくるから待ってて!」
「ちょいちょい!とりあえず落ち着こう!!」
走り出そうとするところをギリギリ制服の裾を掴んで食い止める。
「天満、あのさ──」
「光!俺のことは光って呼んで!オレとAちゃんはお友だちなんだから、遠慮は無用なんだぜ!」
「お、おう」
えっへんと胸を張る光に、思わず頬が緩む。なるほど、これが母性、か。
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!素敵なお話をありがとうございました!もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー!! (4月7日 0時) (レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです! (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです!是非!お願いします! (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです!すごく楽しく読ませてもらいました! (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです!受験勉強後回しにして(?)2日で読み終わりました!ぜひ!続編読ませて欲しいです! (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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