ヒーロー発見*3 ページ4
「良かったぁ。これで『え、いきなり呼び捨てかよ』とか言われたらどうしようかと……。俺、忍とずっと友達になりたかったからさ」
「えっ」
「え?」
「え……」
忍はぽかんと目を丸くしてから、右を見て、左を見て、俺の顔を見て……最後に首を傾げると、いきなりボンッと音がしそうなほど顔を赤くした。
「えぇ?! なに、どったの急に!」
「友達とはつまりその、一緒にお買い物したり、昼食を共にしたりするっていうあの?!」
「う、うん。そうだな」
「勉強会とは名ばかりのファミレスで駄弁るだけの集まりをしたり、盗んだバイクで走り出したりするあの……!!」
「最後のはちょっと違うけどまあそうだよ」
「はぅっ!!!」
よた、と後ろに体を仰け反らせる忍。
「友達……。拙者とA殿が……友達……」
何か呟いているけれど聞こえない。
もしや、忍の地雷を踏んでしまったのか?!せっかく友達になれたというのに、俺はなんてことを……!!
「二人の世界を作ってるところ申し訳ないんだけど、そこ退いてもらえる……?」
という翠の一言で、とりあえずカオスはひと段落した。
中に入ってから、さて、このダンボールはどこへ置けば、と辺りを見回していると。不意に横から声がして振り向く。
「無事に運び込めたようだな! 良かった良かった、あまりに遅かったから心配したぞ」
「ちょ、隊長!今抱きしめられると危ないッス!」
「おっと、すまんすまん! 労ろうと思ったのだがどうにも裏目に出てしまうな」
笑顔で鉄虎に抱きつこうとして門前払いされたのは、爽やかな雰囲気のお兄さん。うわっ笑顔が太陽みたいに眩しい。……てか、あれ。なんか見覚えが……。
「よぅし、お詫びと言ってはなんだが俺も半分持とう!」
「それならAくんの方をお願いするッス」
「A?」
「あ、俺です。助っ人のAです」
お兄さんとばっちり目が合う。
鉄虎と翠が奥へ行ったのを確認したお兄さんは、俺からダンボールを受け取るとシーブリーズのCMに出演してそうな笑顔を浮かべた。
「そうか、どうもありがとう! 後輩2人が世話になったな」
ここまで運ぶのは大変だっただろう、と気遣うように微笑むお兄さん。うーーん。やっぱり既視感。
「俺たち、どこかで会ったことありませんか」
「ん? 廊下ですれ違った、とかか?」
「いえそうじゃなくて」
どこだ。どこで見たんだ。
脳から必死に記憶を掘り起こす。
お兄さんみたいにカッコいい人なかなか忘れないと思うんけど。それこそ少女漫画のヒーローみたいで……ん?少女漫画???
「あっ!! パン!!!」
「パン……!?!?」
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koeno(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!素敵なお話をありがとうございました!もし続編を書かれるのであればぜひパスワードを教えていただきたいですー!! (4月7日 0時) (レス) @page49 id: 3ec6efc790 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続編みたいです! (4月2日 17時) (レス) @page49 id: 54e2cad7a6 (このIDを非表示/違反報告)
0nm3264922j626v(プロフ) - 続編めっちゃ読みたいです!是非!お願いします! (4月1日 20時) (レス) id: 203b2c7fc8 (このIDを非表示/違反報告)
ただのヲタク(プロフ) - 続編読みたいです!すごく楽しく読ませてもらいました! (3月30日 9時) (レス) @page49 id: 9a68619e2b (このIDを非表示/違反報告)
ダイ - もう、めちゃくちゃ面白かったです!受験勉強後回しにして(?)2日で読み終わりました!ぜひ!続編読ませて欲しいです! (2月26日 23時) (レス) @page49 id: aa1dedb486 (このIDを非表示/違反報告)
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