追憶＊道化の奇策縦横*２(Noside) ページ40
「やはり何も違和感はなかったそうです」
しばし鳩と戯れていた渉が、思い出したように零の方を向いてそう言う。にこにこと表向きは平常心を保っているように見えるが、裏では思案に暮れていて。
(嫌な予感がして見張りを頼んでいましたが……。特に危険な動きはなかったはず。ということは、裏で何か仕組まれていた、ということでしょうか)
頭の中でパズルの空白の部分にピースを当て嵌め、物語の真相を解いていく。
しかし当て嵌めるための情報が少なく、さすがにお手上げになってしまう。日々樹渉は生粋の役者だ。物語とは演じるものであり、探偵役でもないときはその本質を見抜くことは不得意であった。
「無理はあるまい。あやつらはどうも一筋縄ではいかない連中でのう。巧みに裏で動いておるが……詰めが甘い」
失笑した。
月に触るように手を伸ばし、窓に優しく触れる。
「近いうちに、Aくんに危害を加える計画になっているようじゃ。我輩があの子のもとへ赴くと警戒されるやもしれん。手を煩わせるようになってしまうが、日々樹くんから警戒を促してほしいんじゃ。……頼まれてくれるかえ？」
「ええ。魔王陛下の仰せのままに！」
優雅にターンして薔薇を散らばらせると、ところで、と前置きをして仮面の奥の双方を光らせた。
「Aくんにご執着のようで。普段はあの弟さんに熱をあげているのに。なんだか妬けてしまいますねぇ」
「日々樹くんはたまぁに酔狂なことを言うのう。もちろん凛月は大切じゃよ。この前ものう、りちゅが─(略)─」
長そうなんで5倍速。
「というわけじゃ！Aくんはほら、小動物のように稚気で守ってあげたくなるじゃろ？ 我輩って後輩は可愛がる性じゃし」
やっと話が戻ってきた。ここまで約3分半。
ふと立ち上がった零は、軽音部の隅にドカンと置かれている何かの山に近づいた。先程からずっと置かれていたが布が掛けられていて中身を伺えなかったのだ。
その布を掴み、つい買ってしまうんじゃよと困ったように微笑しながら、勢いよく布を引っ張った。そこには──
「わお、お菓子の山」
「そうなんじゃよ〜。お菓子売り場を横切ると、ついついAくんの笑顔が脳裏にチラついてのう。気づいたときには毎回レジに並んでるんじゃ」
お菓子の箱、お菓子の箱、お菓子の箱。
いくら食わせる気だ。
「軽音部の愛し子たちにも食べてもらってるんじゃが、まったくなくなる気がしなくてのう。すまんが何個か持っていておくれ」
余談だが。
貰ったお菓子を子うさぎにあげたら「なんのつもりだ変態仮面！」と威嚇されましたとさ。ちゃんちゃん。
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ウィリアム…鳩(オス)。Aが助けた鳩
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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです！これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます！！ (2020年1月11日 23時) (
レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです！！pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します！！これからも影ながら応援しております！頑張ってください！ (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです！続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……！ (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)
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