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禁忌術*3 ページ21

困惑したまま隣を見上げるとお兄さんは満足そうに笑った。

「そこまでお礼がしたいなラ……。そうだなァ、ボクのお願い、聞いてくれル?」

「はい!俺にできることならなんでも!」

「ふーん。なんでも、ネ。じゃア──」

お兄さんは目を細めて、それから焦らすようにゆっくりと口を開いた。

「──実験のモルモットになってヨ」

「……え?」

なんだそれ。
思わずぽかんとする俺を見て、お兄さんは愉快そうにくつくつと喉の奥で笑い声を漏らした。

「そう怖がらないデ。痛いことはしないかラ。ただ、ちょっと記憶が曖昧になったり、身体が動かなくなったりするかもしれないけド」

「いやいやいや。あの、お兄さん。さすがに冗談がきついですよ」

「そうかナ。ボクは魔法使いだシ、おかしな話じゃないよネ? あーあーキミに上着を貸してしまったから寒いなァ」

こんなときでも厨二病設定か!上着の件に関しては本当にすみませんでした!でもモルモットって……。そんなこと言われても困る。

「寒くて仕方がないなァ。誰かさんのせいでネ」

うっ。そんな目で見つめられても。

寒いから暖かい飲み物でも、と思ったのにお兄さんはいないというし。うーん。モルモット……。モルモットかぁ。

「……そんなに寒いんですか……?」

「そりゃもうサ」

うだうだ考えているうちにも、お兄さんはわざとらしく身震いしていた。うう〜。

どうすれば……。

「…………あっ。なら、」

うわ。どうしよ。思いついた。思いついた、けど。これって結構恥ずかしいやつなんじゃ。

いや、背に腹は変えられないし。やるしかないか……!

「……俺を、カイロ替わりにしてください」

「えっ」

「……お、お兄さん、寒いんですよね!?俺子供体温なので、きっとあったかいと思います!」

お兄さんがぱちりと大きく瞬きをした。
うわうわうわ言っちゃった!めちゃくちゃ恥ずい!顔が熱い!

「ええと、その、だから、えっと……」

ああ、どうしよう。どうしたらいい。この沈黙が耐えられない。お兄さんは困惑してるのか黙ったままだし、俺まで何を言えばいいのかわからなくなってきた。

こうなったら。ええい、ままよ……!!

「こうやって!!ぎゅ〜って!!」

勢いよく立ち上がり、俺はお兄さんの胸のあたりに飛び込んだ。そのまま両腕をお兄さんの背中へ回して力いっぱい抱きしめる。

そして顔をぐりぐりとお兄さんの肩口に押し付けた。これで少しは暖かくなるはずだ。多分。

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yukki(プロフ) - 続けてくださって嬉しい限りです!これからも応援しながら作者様の作品を読ませていただきます!! (2020年1月11日 23時) (レス) id: c7ca82405e (このIDを非表示/違反報告)
すみぃ(プロフ) - 続けて下さってほんとに嬉しいです!!pixivあんまり詳しくなくて作者様の作品見れるか不安なんですけど勉強します!!これからも影ながら応援しております!頑張ってください! (2020年1月11日 19時) (レス) id: f77c46eafb (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - 作者様の書き方がとても好きですし、凄く読みやすいと感じています。なので、占いツクールでの活動を続けるという決断をなされた事が、凄く嬉しいです。最後になりましたが、更新、楽しみにしながら気長に待ってます。 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
「なる。」(プロフ) - こんにちは。突然ですが、コメント失礼します。占いツクールでの作品の書き方ですが、台本書きでは無い他の作者様も大勢いますし、現に私も台本書きはしていません。書き方は作者様の自由なので、台本書きでも、台本書きじゃなくても、どちらでもいいと思います。私は、 (2020年1月11日 12時) (レス) id: 61cc988ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Tatutatu(プロフ) - この作品とても好きです!続ける決断をなさってくれてとても嬉しいです……! (2020年1月11日 10時) (レス) id: b586c3b914 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:苺バニラ | 作者ホームページ:http  
作成日時:2019年10月14日 12時

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