威嚇する狼*1 ページ20
「あの!今日は金欠なのでカツアゲは他を当たってください!」
「カツアゲじゃねぇよ!」
「見ての通りお財布の中身スッカスカですからぁ!!あっジャンプしましょうか?!」
「人の話を聞け!!」
放課後。
零先輩にお菓子のお礼をしに行こうとあの場所へ向かっていたときのこと。なんの因果か、少女漫画よろしく曲がり角で誰かとぶつかってしまった。
と、まあここまではいい。単なる事故だもの。ただ──相手が悪かった。
目の前には、少女漫画のヒーローのようなキラキラエフェクトをかけたイケメン……ではなく。目つきがクソ悪い(失礼)半グレお兄さん。しかも「あ"ぁ"?」のオマケつき。
さて、どう逃げるか。あっ!あんなところにUFOが!!とかで巻けないだろうか。無理かな。
なんて思考を働かせていると。
半グレお兄さんがチッと舌打ちして右手を上にあげた。
「っ?!」
叩かれる!!
目を瞑り、歯を思いきり食い縛る。そして来るはずであろう衝撃を待っていたのに……。
「ビクビクしてんじゃねぇよ、うぜえ。俺様は『女』に手を出す趣味はねぇんだ」
「……へ、」
ぽん、と頭に置かれた暖かい手。
驚いて目を見開くと、「なんだよ」としかめっ面で言われた。
「や、優しい……」
「あ? てめぇ目え腐ってんのか。俺様のどこが優しいんだよ」
いや、優しいだろ。黙っとくけど。
もしかして、雨の日に捨てられた子犬に傘をさしながら「お前も一人ぼっちなんだな」って言っちゃう系の半グレお兄さんだったのか?!
「おい! んな目で見んな!!」
「ちょ、やめ、ちょっと!髪がボザボサにぃ!」
照れ隠しからか、グシャグシャと頭を力強く撫で回される。あうあう、と呻き声を漏らせば、パッと手を離された。
「つーかなんで『女』がここにいんだよ。まさか忍び込んだとかじゃねぇよな」
「忍び込んでないです!それに俺は──」
「あっ、城崎Aか」
「えっっ」
初対面ですよね?? そんなに俺は有名ですか。
「なんで俺の名前を……」
「吸血鬼ヤ──いや、なんでもねぇ。とある情報筋から聞いた」
「なにそれ怖い」
もしかして変なところで名前が売れているのか??
悪い噂じゃないといいけど。
「んで、どこ行くつもりだよ」
「明らかに話を逸らしましたね」
言うと、ぎろり、と睨まれる。ひぇ。
「朔間零先輩って人のところなんですけど……。どこにいるかご存知ですか」
半グレお兄さんは『朔間零』という名前を聞いて、ピクと眉を動かした。そして不機嫌そうな顔をしてから、仕方ないと言いたげに本日二度目のため息を吐いたのだった。
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苺バニラ(プロフ) - あんみつさん» コメントを返すのが遅れてしまい申し訳ありません、わざわざ教えてくださいりありがとうございます。確認次第すぐに直しますね。誤字のご指摘、助かりました! (2020年5月2日 16時) (レス) id: 04f16d165f (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ - こんにちは。とても面白い作品で見入ってしまいました。半年前の作品に口を出して申し訳ないのですが、knightではなくknightsではありませんか?間違っていたら申し訳ございません。 (2020年4月19日 11時) (レス) id: e8e252d741 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - アルカリさん» いつもご愛読ありがとうございます!作者として、読者さまに面白いと言ってもらえることが一番嬉しいです!これからも、満足していただけるよう精進していきます(*´ω`*) (2019年10月7日 18時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
アルカリ - 長文失礼します。苺バニラさんの、小説は面白くていつも見ています。これからも更新頑張ってください!長文失礼しました。 (2019年10月7日 17時) (レス) id: f17e38f5ae (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 錐餌八戸さん» コメントありがとうございます!零さんとの関係は家族てきな感じにしたいなぁと思っていたので、そう言っていただけると嬉しいです〜!これからも、おじいちゃんと孫コンビで頑張ってもらいたいですねぇ(*´ω`*) (2019年9月15日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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