ギブ・アンド・テイク*2 ページ28
「う〜、なんか入りづらくないですか?」
店の前に来た瞬間、居心地の悪さを感じる。
まず俺たちをお出迎えしたのは、薄いピンク色のオシャレな扉。それだけでも入りづらいのに、入店していくのは『女性』ばかりといった追い打ち。
「そりゃそうでしょ。だいたいこの感じのお店は、女子くらいしか入店しないよ。男は確実に浮くのが鉄則」
当たり前のように語る泉先輩に、俺は少し不思議に思いながらも首を傾げた。
「なんで泉先輩は平気そうにしてるんです?」
「だってAがいれば、その彼氏と思ってもらえるじゃん。彼氏同伴っていう名目なら、こういうお店でも浮かないし」
「ちょっと待ってください。なんで彼氏なんですか?男同士の『先輩』と『後輩』ですよね?」
「世間一般的に見れば、彼氏彼女の関係に見えると思うけど?」
「見えませんよ!!」
もの凄く心外だ。これでも私服は男性用(一番小さいサイズだがブカブカ)を来てるし、どこからどう見たって男なわけで。
「ていうか、Aってこういうお店に入ったことないの?甘いもの好きなのに意外じゃん」
「中学生の頃とかはお小遣いが今よりもなかったですし。同級生に男として意識してもらうために、甘いものが好きだってことは隠してたんです。だから、こういうお店は来ないようにしてて」
店の前を通る度に、店内が気になってはいたけど。それでも欲を押さえて興味がないフリをしていた。
「へぇ……。まぁ、Aは特に違和感ないから大丈夫でしょ」
そう言いながら、扉を躊躇なく開く。ねぇ、喧嘩売ってこなかった?
カランカランと扉に取り付けられた鐘が鳴り、ウエイトレスさんが律儀にお辞儀をして「いらっしゃいませ」と微笑を浮かべる。
泉先輩は手慣れた様子で、一番奥にある隔離されている席にしてもらっていた。なんでも、カップルで来店してきた人が周囲からの目を気にしないように、との店側の配慮らしい。
「カップルが妬ましい店員のストレスを除くためじゃないんですね」
「アンタって、時々マジで肝が据わってること言うよねぇ」
こいつヤベェという目で泉先輩に見られながらも、指定された席につく。
__さぁ、
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苺バニラ(プロフ) - あんみつさん» コメントを返すのが遅れてしまい申し訳ありません、わざわざ教えてくださいりありがとうございます。確認次第すぐに直しますね。誤字のご指摘、助かりました! (2020年5月2日 16時) (レス) id: 04f16d165f (このIDを非表示/違反報告)
あんみつ - こんにちは。とても面白い作品で見入ってしまいました。半年前の作品に口を出して申し訳ないのですが、knightではなくknightsではありませんか?間違っていたら申し訳ございません。 (2020年4月19日 11時) (レス) id: e8e252d741 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - アルカリさん» いつもご愛読ありがとうございます!作者として、読者さまに面白いと言ってもらえることが一番嬉しいです!これからも、満足していただけるよう精進していきます(*´ω`*) (2019年10月7日 18時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
アルカリ - 長文失礼します。苺バニラさんの、小説は面白くていつも見ています。これからも更新頑張ってください!長文失礼しました。 (2019年10月7日 17時) (レス) id: f17e38f5ae (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 錐餌八戸さん» コメントありがとうございます!零さんとの関係は家族てきな感じにしたいなぁと思っていたので、そう言っていただけると嬉しいです〜!これからも、おじいちゃんと孫コンビで頑張ってもらいたいですねぇ(*´ω`*) (2019年9月15日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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