鬼ごっこ*１ ページ29
手芸部から脱出した俺は、訳あって弓道場を訪れていた。
「──さて、話してもらおうか。これは列記とした不法侵入だ、わかっているのか」
「ひぇっ」
俺の目の前には、腕を組んでこちらを見下ろす眼鏡の男。威圧感半端ないわ。俺は蛇に睨まれた蛙よろしく固まっていた。そして、かろうじて働いていた頭の隅の方で考える。
どうしてこうなった？思い出だせ、こうなる前の出来事を。そう。あれは確か数分前のこと──
俺は廊下をうろうろと動き回っていた。いつまでもこの服でいるわけにはいかないし、早急に着替えられそうな場所を探さなくては。
この際だから、空き教室でもトイレでもなんでもいい。とキョロキョロしている、そのとき。
「貴様、こんな所で何をしている？」
背後から声がかけられる。はい？と振り返った俺は、そこに立つ人物を見て思わず固まった。
「……おい、聞いているのか。何故ここに居ると訊いているんだ」
仏頂面の、眼鏡をかけた上級生らしき人から睨まれる。こ、こわ……。
「先に言っておくが、言い訳は通じんぞ」
「ええと、その、実は……」
「なんだ」
女装させられてました☆なんて言えるかぁあっ！
まず、正直に言ったところで信じてもらえるか怪しいところだ。しかも何より説明が難しい！ええい！こうなったら──
「ごめんなさい！」
三十六計逃げるに如かず。脱兎のごとくかけ出す俺に、彼は眉を吊り上げ叫んだ。
「ッ、待て！廊下を走るな！！」
「あんたも走ってるじゃん！？」
ちぃっ、まさか追いかけてくるとは！しかし、ここで捕まるわけにはいかない！！
そうして鬼ごっこが始まり、なんだかんだ捕まってこうして現在に至る──。
「よくも逃げてくれたな。覚悟はいいか」
……………はい、どう見ても怒ってますよね。
ここに連行されて早々そこに正座しろと言われたため、足が痺れて感覚がなくなってきた。どうしてこんなことに……！俺は何もしていないのに！
「いやその、ちょっと事情がありましてですね」
「問答無用だ」
「せめて話だけでも聞いてくれませんかね！？」
「聞き入れるかどうか検討するが、貴様が逃げるというのであれば話は別だ」
「うぐぅ」
痛いとこ突かれた。眼鏡の奥の瞳が、鋭く細められた気がした。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると、嬉しい限りです！更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります！ (2019年8月20日 14時) (
レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください！応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω｀*)とっても嬉しいですし、励みになりました！りさこさんは優しい方ですね！今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です！とにかく最高でした！！これからも応援してます！！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます！時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね！ (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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