鬼ごっこ*2 ページ30
「では、もう一度訊こう。あんなところで何をしていた」
「えと……」
さて、何から言えば良いのやら。
困ったことに今の姿は、男が女物の学生服を着た状態だ。傍から見たらとんでもない変態に見えるだろう。けど、ここまできたらもう素直に白状するしかない。
「……ました……」
「聞こえんぞ」
くっ、なんだこの屈辱は!覚えてろよ、このわからずやめ……!!
「だから!じょ、女装させられてました……!」
「…………………は?」
瞬きをして、顔をゆっくり傾ける眼鏡の先輩。ああ〜終わった。絶対に女装癖のある変態だと思われた!やめて、そんな目で俺を見ないで……!
「何を言うのかと思えば……。くだらない言い訳はよせ。どこからどう見ても女性だろう」
「んえ??」
思わず俯いた俺の頭上から、全く予想していなかった言葉が降ってくる。顔を上げると、そんな俺を呆れたように、そして不快そうに見下ろす彼の姿があった。
「学院に忍び込んだうえ逃走、さらには虚偽の申告まで行うとは。度胸があるんだかないんだかわからない奴め……」
「忍び込んでないです!あと嘘もついてない!」
逃走は認めよう。でもそれだって悪事を働いたわけではないし……。
「ふん、よく回る口だな。その制服に見覚えはないが一体どこの高校だ?」
「だから女装!!何回も言わせないでくださいよ悲しくなる!!」
ダメだっ、確実に女の子だと思われてる!まあこの服かわいいもんなっ、そりゃ勘違いするわ!!
「こんな格好だから説得力皆無かもですけど、俺は男ですよ!お・と・こ!!」
それでも、全力で説得を試みる。たとえ変態と思われようが、女の子だと思われるよりマシ……なはず!多分!
畳をバンバンと叩きながら訴えるが、先輩は表情一つ変えない。
「ほう、あくまでもシラを切るつもりか。ならば、貴様が男だということを証明してみせろ」
メガネのグリップを指で押し上げながら、鋭い視線を向けてくる。
「証明?」
「ああ。できるものならな」
先輩は相変わらず険しい顔をしていた。しかも俺が嫌そうな態度をモロに出してしまったせいか、疑いの眼差しが余計に強くなった。うわぁ、面倒くさいことになったぞ。
それにしても『証明して見せろ』ね。……うーん、どうしよう。
「どうした、まさかできないのか?」
眼鏡の奥から、探るような視線が突き刺さってくる。そ、そこまで言うならやってやろうじゃないか!後悔しても知らないからな!
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます!そう言って頂けると、嬉しい限りです!更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります! (2019年8月20日 14時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください!応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω`*)とっても嬉しいですし、励みになりました!りさこさんは優しい方ですね!今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です!とにかく最高でした!!これからも応援してます!! (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます!時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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