体育館倉庫*１ ページ20
「三限目が、A組とB組の合同体育だったとは……」
校庭にて。俺は制服姿のまま、ひとり悲しく木陰になっている芝生に座っていた。ここからだと、広々としたグラウンドで同級生たちがサッカーをしているのが良く見える。
「くっそぅ。着替えを忘れたから途中参加もできないし……」
教室に行ったらもぬけの殻だったときの俺の気持ちがわかるか？絶望したわ。しかも、こんなときに限ってレクリエーションをするなんて。絶対に楽しいやつ……！ずるい！！
混ざってやろうかとも思ったけど、ここの制服はお高いからやめた。こんなにすぐ汚せない。
そして最悪な事は重なって起きるもので。体育教師から『遅刻してきた罰として、ボールの後片付けよろしく』と命じられている。俺は使ってないんですけど！？って抗議はスルーされた。
「……いいなぁ……」
俺はボールを眺めながら、ただ時間が過ぎるのを待った。そうしているうちに、やっと終了の合図を告げるチャイムの音が鳴る。
「──さて、と。ボチボチやりますか」
重たい腰を上げて、地面に転がるボールを拾いに行く。ええっと、確かボールは全部で四つだったよな。一つ、二つ、三つ………ってあれ？ラストは？
「はい、捜し物」
不意に、眼前にボールが現れた。
「あ、ありが──ひぇっ」
「お化け見ちゃった、みたいな反応しないでよー」
顔を上げると、そこには体操服姿のひなたがいた。暑かったのか髪を一つにくくっている。髪短いのに器用だなぁ、なんて現実逃避。
「Aくん、なんで制服着てるの？」
「あぅ。ゆうたまで……」
ひなたの後ろから、同じく体操服姿のゆうたがひょっこり現れる。こちらは髪の毛を下ろしていた。
「ボール片付けるの？俺たちも一緒に行くよ」
「えっ！？いや、」
「さあ、体育館倉庫にレッツゴー！」
抗議の声は、腕を高らかに上げるひなたによって遮られた。ゆうたに「早く早く！」と背中を押される。
「ちょっ、ご、強引だなぁ。ほんと」
双子が何事もなかったかのように話すもんだから、なんだか拍子抜けしてしまった。
昨日あんなに酷い別れ方をしたから、道中気まずい雰囲気になるかと思えば全然そんなことはなく。むしろ、さっきのサッカーの話で大盛り上がりだった。
「ゆうたくんと同じチームだったら阿吽の呼吸をお披露目したのにぃ！」
「アニキったら、いつもの癖で俺にパスしてくるんだよ？しかも何回も」
「あはは。見てた見てた。仲間からブーイングの嵐だったじゃん」
「ゆうたくんがいると思ったらつい！」
そんなことを話していると、体育館倉庫に到着。鉄製の扉を開け少し薄暗い中へと入った。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！そう言って頂けると、嬉しい限りです！更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります！ (2019年8月20日 14時) (
レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください！応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω｀*)とっても嬉しいですし、励みになりました！りさこさんは優しい方ですね！今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です！とにかく最高でした！！これからも応援してます！！ (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます！時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね！ (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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