花園でミッション*1 ページ16
廊下を走り抜け階段を駆け下りる。昇降口で上履きから運動靴に履き替え、校舎裏へと向かう。
「ッ……はっ、……」
浅く息を吐き出して、胸を押さえながらずるずるしゃがみ込む。
「なんなんだよ、もう」
昨日から、どうにも調子が悪い。
元からモヤモヤしていたものが、ゆうたの言葉を遮ってしまったことにより更に強くなった。なんだこのモヤモヤは!!
正体が掴めそうで掴めないそれが、心底気持ち悪くてたまったもんじゃない。
「こんなんじゃダメだって、わかってるのに……」
もともと悩むよりは行動した方が早いと思ってる。
でも今はモヤモヤの正体さえわからない。つまり八方ふさがりで出口が見えない。
「くっ。なんで俺がこんなに悩まないといけないんだ!」
だいたい、あの双子が余計なお節介を焼いてきたのが問題なわけで……!あーもう!
いつまでもうじうじうじうじ、俺らしくない!
しかも敵前逃亡とは。なんたる不覚!……というか、授業はどうする。戻ったとしても授業を受ける気分ではないし、プラスゆうたとエンカウントという確定イベントが待っている。
「……よし。サボろう」
はい決定。
この学校ムダに敷地面積がデカいから探索すれば良い気分転換になりそう。そうと決まれば話は早い。俺は意気揚々と歩き出した。
✿✿✿
「なんだ。ここ」
歩いて数分経った。目の前には、沢山のお花に囲まれたカフェのような建物。立ち入り禁止の札はないから、入っても問題ないだろう。
「お邪魔しまーす」
ガラス張りの扉を開けると、ふわりと優しい香りに包まれた。さすが、私立だけあってお金がかかってるなぁ。
少し辺りを見渡してから、近くに設置された椅子の一脚に腰掛ける。
「ふぅ……」
花の甘い香りと、暖かな日差し。
こんな時間にここにいるのは俺くらいなものでとても静かだ。まさに絶好のお昼寝日和。
なんだか、体から力が抜けてく……。
「……ふわぁ……眠い……」
意識が途切れ途切れになって、瞼がどんどん下がってきた……。
─────
───
─
「ん……?んぅ……」
あ。いけない。寝ちゃってた。
頭はまだハッキリしないけど、とりあえず目を開ける。すると、
「あ、起きた」
俺の顔を覗き込むように見つめてくる誰かの顔が視界いっぱいに飛び込んできた。
「え、誰!?」
「ごめんね、驚かせちゃって」
飛び起きるとその人は朗らかに笑った。
制服を着ているから恐らくここの生徒なのだろう。なんでこんな時間に……。とは言っても人のことを言えた義理じゃないけど。
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苺バニラ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます!そう言って頂けると、嬉しい限りです!更新が遅めになっていて申し訳ない気持ちで一杯ですが、これからも頑張ります! (2019年8月20日 14時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りな - 凄く良かったです!!面白かったです!!更新無理をせず頑張ってください!応援します!! (2019年8月20日 10時) (レス) id: 55c1958e88 (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - りさこさん» ありがとうございます(*´ω`*)とっても嬉しいですし、励みになりました!りさこさんは優しい方ですね!今後も頑張ります!! (2019年7月29日 7時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
りさこ(プロフ) - 更新お疲れ様です!とにかく最高でした!!これからも応援してます!! (2019年7月29日 0時) (レス) id: c7281289de (このIDを非表示/違反報告)
苺バニラ(プロフ) - 夜桜ナイフさん» ありがとうございます!時間が空き次第でよければ、拝見させてもらいますね! (2019年7月14日 16時) (レス) id: 563228d52f (このIDを非表示/違反報告)
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