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「ありがとう」
「本当にここでいいの？」
「大丈夫大丈夫」
少し手前で降ろしてもらって歩いていくといつもの
坂が見えてきて私は携帯を見ながら歩いていた。
「えっと」
蓮くんからの返事はなくて
読んだことがわかる状態で止まっていた。
降りたよ。とか送る？
でも、付き合ってるわけじゃ無いしなぁ…
そんな事考えながら坂もそろそろ登りきる時
蓮「A」
「え？」
蓮「おかえり」
「蓮くん！どうしたの？」
蓮「どうしたのやない」
「…怒ってる？」
怒ってるというより…拗ねてる？のかな？
蓮「ちょっと話したいんだけど」
「え、うん？」
真っ直ぐに坂を登っていく
蓮くんの後ろをついていきながら
蓮「俺の部屋でもいい？」
「え？！いいの？」
蓮「うん、大丈夫」
いや、大丈夫って
蓮「ごめん、ちょっと俺、余裕ないけん」
「え、あ、うん？」
兎に角、今はついて行く。
いつもと違うエントランスを通り蓮くんの部屋の前。
ゆっくりと空いた扉に
どうぞってレディファーストで。
「お邪魔します。わぁ、ほぼ同じ。
こっちのが広いんだね」
蓮「そうだね」
靴を脱いで先に上がらせてもらい
靴を揃えようと体の向きを変えたら…
蓮「心配やったんよ」
「ちょ、蓮くん…」
私を包む蓮くんの香り。
ふわっと香る香水が一気に私の体温を上げる。
段差がある玄関は狡い演出をする。
いつもより蓮くんの顔は近くて
蓮「何もされてない？」
その一言に
「ふふっ」
思わず笑みが溢れて
蓮「A？」
「ちょ、近いって」
今まで抱きしめられて顔が見れなかったのに
名前を呼ばれてこっち見るから
蓮「え、あっ、ごめん」
「ふふっ」
蓮くんは顔が真っ赤に。
「あがらない…の？」
蓮「あがるあがる」
慌てて靴を脱ぐ彼。
ドキドキしてるのは私だけじゃないみたい。
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作者名：Chii。
| 作成日時：2021年7月24日 21時
