モノクロ

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「どうぞ」


「失礼します。副社長、今夜は社長と共に
五十嵐グループの会長とお食事があります。
合併のお話だと思いますので資料のご用意をお願い致します」


「わかった、ありがとう。
俺は先に寄るところがあるから自分の車で行くよ」


「承知いたしました」




部屋を出ていく副社長。


席を立ったときにひらりと紙が一枚落ちた。



気付かずに行ってしまったため、

代わりに拾おうと手を伸ばして、ギョッとする。





「ばい、しゅう…？」




そこに書かれていたのは、



藤ヶ谷グループと五十嵐グループの合併話の裏で

副社長である横尾さまが五十嵐グループに移り

そこの秘書として働き、藤ヶ谷グループを買収…


つまり乗っ取るという旨の文章であった。





「あいつ……」


俺が秘書になったのが気に食わないのか。

秘書よりも副社長の方が貰える金も多いはずだが…



まあそんなことはどうでもいい。

このままじゃこの会社が、


藤ヶ谷さまが崩れてしまう。




たとえ藤ヶ谷さま…いや、太輔が

何もかもを失ってしまっても


俺が守ってみせる。





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