モノクロ

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K_memory









「いらっしゃいませー」




オヤジを相手してないときは
だいたいレジに立っている。



いい歳して定職にもついてない俺は
今じゃ立派なバイトリーダー。



真夜中はほとんど客は来ないから
ボーッとしてることがほとんど。






真っ白のレジ台にポンと置かれた炭酸水。



「１０８円になります」





値段を告げると差し出された一万円札。


おいおい、マジかよ？



せめて千円札だろ。



「…一万円からでよろしいでしょうか」



若干反抗の気持ちも込めて確認をする。

そこで初めて顔を上げた。




雷に打たれた感覚


とはこのことだろうか。



目が合って、目を離せなくなって

動けなくなって。



「はい。すいません、小銭持ってなくて」




口を開いて発されたその声を捉えた俺の耳は

溶けそうになって、血液が沸騰したみたいだ。



縦に動く喉仏がスローモーションで見えて、



この人だ、直感でそう感じた。






「あの…？」



完全に停止した俺を見かねて

彼は不思議そうに声をかけた。



慌ててお釣りと商品を渡して、

彼は去っていった。




お釣りを渡すときに一瞬、触れた手。


最高に熱された鉄板に触れたみたいに
その部分が熱くなった。



全身の力が抜けて、
ズルズルとその場に座り込んだ。



「…なんだ、これ……」





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