298、世話を焼く(別視点) ページ4
「Aーーー!!」
総悟は必死になってAの姿を探していた。
(絶対勘違いしてやがる……っ!早く見つけ出さねェと)
この間つい振手をり払ってしまってしまった事をちゃんと謝罪したいと思ってはいた。
お風呂に入っているAの姿を思わず想像して悶々としている時だったので、触られた瞬間色々とヤバくなって振り払ってしまったのだが……。
後になって酷く後悔に苛まれた。
けど謝罪のタイミングを逃してしまっていて。
もう酔いなどとっくに覚めていた。
Aの泣き顔を思い出すたび焦燥感に苛まれ、しっかりした足取りで走りながらAの姿を探す。
「まだ見つかってないのか。使えない男アル」
「……クソチャイナ、何しに来やがった帰れ」
汗だくになって探していた総悟の前に現れたのはAではなく神楽だった。
神楽は番傘をくるくると回しながら総悟の方を睨みつつ言葉を吐く。
「わたしにそんな口聞いていいアルか?」
言い切ってニヤリと笑みを浮かべた。
イラッとした総悟だったが今はAを探すことが先だと思い直し吐き捨てるように言葉を捨てて足を動かした。
「今はお前に構ってる暇ァ、」
「パンダの居場所知ってても?」
神楽の言葉に立ち去ろうとしていた総悟の足が止まった。
「……嘘じゃねェだろうな」
「僕が悪かったですごめんなさいって這いつくばって謝ったら教えてやっても……って言いたいところアルが女の子泣かせたままは気持ち悪いから教えてやるネ」
「…………まだ、泣いてたんで」
「泣いてたアル。どこかの誰かさんの所為で辛そうにしてたネ」
場所を伝えるなり駆けて行った総悟の姿を見送って、神楽はため息を吐いた。
(パンダごめんアル。少し考えたいって言ってたけどクソサドそっちに送ったネ。……まああの様子なら大丈夫アルな)
必死になって駆けて行った総悟の表情を思い出して、神楽は笑みを浮かべた。
「全く、世話が焼けるパンダアルな」
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ぴっぴ(プロフ) - めちゃ面白かったです!執筆お疲れ様でした!!これからも応援してます! (2021年2月14日 11時) (レス) id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - とっても良い作品で思わず一気読みしてしまいました!こんな作品に出会えて良かったです、完結おめでとうございます! (2020年11月8日 3時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - からしさんの作品どれも大好きです。また作品読ませて頂きます。 (2020年11月4日 21時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年7月11日 21時