319、説明求む ページ25
テレビに映し出されている見覚えのある顔に思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。
慌てて飲み込んでは見たが気管に入ったらしく思いっきりむせこむ。
「A、大丈夫かィ」
総悟が背中をさすってくれるが私はそれどころじゃなかった。
「て、テレビに」
「テレビに?」
「……私の師匠が、映っているんだが……???」
そう。
今日の夕方に起きた飛行船の落下事故の現場のニュース画面になぜか行方不明だったはずの師匠が映ってる。
しかもいやになるほど見てきた不機嫌そうな顔の師匠が。
ちょっと待てどう言うことだ。
なんで師匠が落下した船から救出されてるんだ?
というか師匠の傍に抱えられてるのはどう見ても赤なんだが??
「え?どれ?」
「これ……」
「あら、Aさんのお師匠様なんですのね?大きな方ですわねえ」
「僕も初めて見るなあ。すごく……大きい人だね?」
「あれ、この腕に抱えられてぐったりしてんの赤いのじゃねえですかィ」
「ああ、本当だ。流石師匠。赤信さんじゃても足も出なかったんですかねえ」
「そんな強いんで?」
「ガチで強いらしいですよ。僕は残念ながら会ったことはありませんけど」
いやいや、ちょっと待て。
そんな和やかに話してるがおかしくないか?!
行方不明の師匠がなぜ落ちた船から出てきたんだ?!
というかそのそばに申し訳なさそうな顔をした緑が映ってるように見えたんだが!?
わけのわからなさにぐるぐるした頭で色々と考えてみるが答えが全然導き出せない。
しかしその思考は鳴り始めた携帯電話の音でかき消される。
「ああ、電話ですね」
そう言って曙は携帯に耳を当ててもしもし、と小さく呟いた。
「……ああ、本当ですか。流石真選組ですね」
「ん?もう解決したんで?」
「………はい、ニュースをちょうど見たところです。……はい、………了解しました」
短い会話を終えた曙は携帯電話を閉じるとにこりと笑みを浮かべる。
「全部解決しましたよ」
「おー、流石とっつあんでさァ」
「え????」
「あら、じゃあお泊まり会はおしまいなんですのね。つまらなくなるわ」
「また遊びにきまさァ」
「ただその前にAさんにお願いしたいことがあるんです」
「……え????」
「あなたのお師匠さんの暴走を止めてください、だそうです」
いやだから色々と説明して欲しいんだが?!
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ぴっぴ(プロフ) - めちゃ面白かったです!執筆お疲れ様でした!!これからも応援してます! (2021年2月14日 11時) (レス) id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - とっても良い作品で思わず一気読みしてしまいました!こんな作品に出会えて良かったです、完結おめでとうございます! (2020年11月8日 3時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - からしさんの作品どれも大好きです。また作品読ませて頂きます。 (2020年11月4日 21時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年7月11日 21時