317、解決に向けて(別視点) ページ23
「うちの子供一人さらって挙げ句の果てに白をまるで道具みたいに言うなんて、俺本当がっかり。面白いやつとトモダチになれたと思ったのになあ」
師匠はどこまでもぶっ飛んでいた。
さらわれて閉じ込められていたというのにどうやらその状況を楽しんでいたらしい。
そこまでどうにか思考が追いつき思わず緑は顔を引きつらせた。
(本当時折サイコパスすぎなんですよねこの人)
だからこそ影の組織の師匠なんて役柄を務めていられたのだろうが。
「このまま船が落ちてしまうと落ちた先の何も関係のない無実な人たちが巻き込まれてしまいます」
「……確かに、そんなことしたら松平くんに怒られそうだなあ。仕方ない」
とは言ってももうすでに船は大暴れした師匠によってボロボロになっていてここからどうにかする術などほとんどないのだが。
しかしこれ以上暴れなければこれ以上壊れることもとりあえず無くなった。
あとはどうにかして船を海の上まで運べば生きて帰れる可能性もあるし関係のない人間を巻き込むこともなくなるだろう。
そこまで考えて緑はほっと息を吐いた。
「それに白は恋人さんが守っていますから大丈夫だと思います。それよりも船をなんとかしましょう……」
「え?恋人?俺挨拶されてないけど」
「行方不明だったんですから挨拶もできないでしょう」
「あれ、そうだっけ。そっか、じゃあ仕方ないか?」
(お願いですから青か赤あたり来てくれないかしら……)
そんな緑の願いが届いていたのか、赤と黒は青の用意した船を使いどうにか落ちかけている船の中へと乗船していた。
ふらりふらりと落ちたり上がったりしながらよろよろと海の方向へと進んでいく船の上で二人はキョロキョロと視線を彷徨わせる。
「船ぼろっぼろじゃねえか」
『師匠が一頻り暴れましたから。僕がどうにか海の方へと船を誘導していますから早いところ乗船してる緑と師匠を見つけて保護してきてください。あと犯罪の証拠になりそうなものの回収もお忘れなく』
「人使いが荒い野郎だぜ。けっ。俺ぁんなことより暴れたいっつーの」
『師匠にまた稽古つけて貰えばいいでしょう』
「あ?……それは嫌」
『全く、わがままですねえ。僕はこっちにばかり気を止めていられないんですからさっさと動いてください』
「じゃあボクが証拠品集めしておくから二人のことよろしくねー!」
さっさと逃げ出すように船内に侵入した黒の後ろ姿を見てため息をはいた赤は、よろよろと船内に入っていった。
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ぴっぴ(プロフ) - めちゃ面白かったです!執筆お疲れ様でした!!これからも応援してます! (2021年2月14日 11時) (レス) id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - とっても良い作品で思わず一気読みしてしまいました!こんな作品に出会えて良かったです、完結おめでとうございます! (2020年11月8日 3時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
累(プロフ) - からしさんの作品どれも大好きです。また作品読ませて頂きます。 (2020年11月4日 21時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年7月11日 21時