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315、世間は狭い ページ21

「甘いものが苦手なんですよね?これならどうかしら?」
「いや、もう本当お腹いっぱいだから」
「ええ?そんな、もっとおたべになった方がいいですわ」

何が一体どうなっているのかよくわからない。

「こら繭。あまりAさんを困らせてはダメだよ」
「テメェも近寄るんじゃねェ」
「はっはっは。僕はAさんの専属医ですからね?」
「諦めるっつったろうが」
「なんのことですか?」
「テメェ……」

いや、本当に何がどうなってるのか誰かいい加減説明してくれ。



崖から飛び降りた私たちを助けたのは黒ずくめの男達だった。
空をとぶ宇宙船に拾われてその男達に連れてこられた先はここ、凛郷家。
とんでもなく大きな豪邸で驚く私を出迎えたのはきれいに着飾った繭の姿で。
その時点でキャパオーバーなのだが、あれよあれよと言う間に暫くその家に匿われる事が決定していてもう数日間この家に居続けている。

そしてさらに驚いたのは。

『妹の手のかかる親友というのがAさんだなんて思わなかったよ』
『まさかAちゃんに横槍を入れているのが兄だとも思いませんでしたわ』

この家に来てすぐに聞いた言葉を思い出してため息をはいた。

この二人……繭と曙が兄妹だった。
世間は思ったよりも狭い。
というか狭すぎる。


「というかいい加減何がどうなってるのか説明をしてほしいんだが?」
「だから説明はしねェって言ってるだろうが」
「いやしかしだな……?」
「今回はAさんに動いてもらってはまずいんです。だから教えません」
「あなたはのんびりお友達を信じて待っていればいいのですわ」

友達を信じて、待つ?
このよくわからない状況下で、ただ一つわかる事は私が知らない何かが今まさに行われているということだけだ。
そしておそらくそれは危険な事であることも。

「……影も絡んでいるんだな?」

その言葉に曙は何も反応を示さなかった。

そう。
黒は万物を見通せるのではないかと思うほど強力な目を持っている。
その彼女が私を見つけにやってこないということは。

「……どうしてそう思うんで?」
「黒が来ない。私に何かあればあいつはいつも必ず一番最初にすっ飛んで来ていた。
少なくとも私が怪我をしたあの日までは。……何を企んでいる?」

にこりと笑みを浮かべた曙に、私は目をそっと細めた。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
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ぴっぴ(プロフ) - めちゃ面白かったです!執筆お疲れ様でした!!これからも応援してます! (2021年2月14日 11時) (レス) id: 4559ad2a7b (このIDを非表示/違反報告)
まあちゃん(プロフ) - とっても良い作品で思わず一気読みしてしまいました!こんな作品に出会えて良かったです、完結おめでとうございます! (2020年11月8日 3時) (レス) id: 0f8101d4ba (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - からしさんの作品どれも大好きです。また作品読ませて頂きます。 (2020年11月4日 21時) (レス) id: 755be2d6bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:からし | 作成日時:2020年7月11日 21時

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