男装パンダは恋を大事にしたい【沖田総悟】6

252、触れるの禁止 ページ7

志村家の目の前で車から降りて伸びを一つした。
さて、騒がしいのがいなければいいけど……。

ズカズカと中に入っていく総悟の後ろをついて歩き、たどり着いた玄関から声をかける。

「すいやせーん。こっちにゴリラ脱走してきてやせんかー？」

総悟が声をかけてすぐ、奥の方から声が聞こえてきた。
お邪魔します、と呟いてから靴を脱ぎ家の中に入って行く。


「あー、やっぱりここにいた。近藤さん探しやしたぜ」

大して探してないだろ。
とは言わずに、部屋の中にいた妙にペコリと会釈をした。

「もう、ちゃんと繋いでおかなくちゃ駄目ですよ。飼い主なんだからきちんと躾してください」
「すいやせんね。うちのゴリラはメスにすぐ興奮するから」
「ああ？今なんて言った？」

局長は熱が上がってしまっているようでぐったりと床に寝転んでいる。
全く……この人は一体何をしているんだか。

「いやだなー、言葉の綾ですよー」

というか総悟に普通に食ってかかってる……。
何この人強すぎじゃないか………？
いやそんなこと考えてる場合じゃないな。
完全にダウンしてしまっているこの局長をなんとかしなくては。

局長の体に触れようとそばまで寄って手を伸ばしたら、それを無理矢理その手を掴まれて離された。
…………あれ？

「総悟……、何？」

総悟に手を掴まれてしまって局長の体を起こせないのだけど。
不機嫌そうな顔をしたまま、総悟は唸るように言葉を発した。

「他の野郎に触るんじゃねェ」
「ええ……、そんなこと言われても局長運ばなくちゃならないだろ……」
「絶対駄目。お前は俺以外に触るんじゃねェ」
「そ……、総悟………」

局長に触るのすら駄目なのか……。

「いちゃつくなら他所でやってくれません？？」
「いちゃついてない……っ」
「とりあえず近藤さんが自分で起き上がれるようになるまで寝かさせてくだせェ。運ぶのしんどいんで」
「嫌です。……と言いたいところですけど仕方ないですね。熱を出してる人を放り出すほど私は鬼じゃありませんから」
「……ありがとうございます」

ならとりあえずいいか………。

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