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288、笑って(別視点) ページ43

総悟の言葉にAは決意を固めたようだった。
暫くぎゅうと目を閉じてからしっかりと総悟の瞳を見て口を開く。

「………私は……、父上とその奥方の………、子供のコピーだ……」
「え………?」

Aの言葉が予想外だったのだろう。
総悟は酷く驚いたような表情を浮かべてただAを見つめていた。

「父上と奥方の間には子供がいたらしい。……しかし、母親が亡くなった事により精神を病んで………、死んでしまったと。私はその子供のコピーとして研究されていたが残念ながら全然似なかったみたいでな。だから私は失敗作のレッテルを貼られる事になった」
「…………」
「子供もどきが気に入らなかったようで父上にはかなりひどい扱いを受けてきたよ。その所為で私は何度も死にかけた」

そして、死んでしまっては困ると男は考えたらしい。
Aには怪我が治りやすいように、その方向にのみ体を弄った。
そうすれば多少八つ当たりをしても壊れないから。

「だから私は人よりも怪我の治りが早い。……でも言ってしまえばそれだけなんだ。私には」
「……それじゃあ、その剣技は」
「父上の友人で剣の達人だった男がいる。その男が教えてくれたんだ。処分されないよう必死で、ただ毎日剣を握り続けてきた……、その結果が今の私だよ」
「……ならお前は自分の力でちゃんと上り詰めてきたって事だ。流石俺の恋人でィ」

そんな答えが来るとは予想していなかったのだろう。
目を見開いたAに総悟は言葉を続ける。

「それにコピーだの失敗作だの、んな事は俺には関係ねェ。俺が好きになったのは松平A、今のお前でィ」

だから変な事は気にせず話を進めろ、とそう言い切った総悟に思わずAは涙をこぼした。
その涙を指で拭き取りながら総悟は苦笑いを溢す。

「こんな事で一々泣くんじゃねェや」
「……ごめん。なんか、嬉しくて」
「嬉しいなら笑いなせェ」

グニと頬を無理やり上げてその変な顔に総悟は吹き出した。

「こっちの方がいい」

総悟が笑うから。
だから、Aは涙を堪えて目一杯笑顔を浮かべた。

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
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オートミール - こんなに読んで良かったと思ったことはありません\(>o<)ノ続きが気になります (2020年10月30日 0時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
だいふく(プロフ) - どのお話も面白くて可愛くて大好きです!更新楽しみにしてます。 (2020年8月23日 19時) (レス) id: 29daa5366e (このIDを非表示/違反報告)
ARMY52260289(プロフ) - 久しぶりにこんな面白い小説に出会いました。。。一気に読んでしまって勿体なく感じてます(._.)何度も読み返そうと思います!パン屋のレジ打ちさんもとても面白かったです。お気に入りの作者さんに登録させて頂きました。応援してます! (2020年7月26日 17時) (レス) id: 5305a43fa0 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ほんとに面白くて好きです!更新楽しみに待ってます! (2020年7月26日 12時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 餡子さん» コメント有り難う御座います!一気読みしてくださってとても嬉しく思います(о´∀`о) またお暇な時にでも見に来てくださったら嬉しいですー! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:からし | 作成日時:2020年6月16日 9時

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