287、影の発端は（別視点） ページ42
Aは孤児であった。
それを『父上』と呼ばれる男に引き取られ、研究材料として数年間生きる事になる。
その男は影という組織の研究員であり、影とは幕府関係者の一部が攘夷戦争の際に作った組織で、天人の力を逆に利用してそれらを廃そうとする為のものだったそうだ。
しかし幕府は天人を受け入れる決断をする。
そうなると影という組織は只の犯罪組織へと早変わりだ。
組織は解体、証拠隠滅の為に研究員もそれに使われていた研究対象……つまり子供達も処分される事となった。
しかし、その『父上』はそれを受け入れず子供たちを連れて逃げ出してしまう。
理由は単純だった。
その男はその研究を利用して病気で亡くなった妻を生き返らせようとしていたのだ。
だから研究結果ごと処分されるのを嫌がり、その男は逃げ出した後もひっそり子供たちを使って研究を続けていた。
そうして出来上がったのがAたち、色の名を持つ子供達だった。
そこまでを聞いて、総悟は考えるような素振りを見せた。
Aも一旦説明をやめて室内は静寂に包まれる。
「……その研究についてもう少し詳しく」
「…………私も原理のついては分からないが……。攘夷戦争の最中で亡くなった天人の体の一部を使って人間の体に適合させる研究だったらしい。赤信のあの剛腕を見ただろう？あれは夜兎の力が入っている」
「青狸は？」
「青維は脳みそを弄られてる。普通の人間よりも記憶力や思考速度が優れているらしい。組織のメインブレインだった」
「Gは？」
「黒な。黒は……目だ。あいつの視力はかなり遠くまで見えるようだし、動体視力も普通の人間よりも何倍も上だ。見ただけで大体の攻撃を回避してしまうからあの強さがある」
「ああ、なるほど通りで」
既に何度も模擬戦で黒江と総悟はやり合っている。
だから合点がいったのだろう。
納得するように頷いてから、総悟は視線をAへと向けた。
「緑はその男の妻のコピー、だったんだよな」
「そうだ。かなり似ているようで父上はとても緑遠を可愛がっていた」
「………Aは」
それにはAはすぐには答えられなかった。
気まずそうに視線を彷徨わせるAを総悟はもう一度呼ぶ。
「……俺ァお前を全部受け入れるって決めてるんでィ。…………話しなせェ」
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オートミール - こんなに読んで良かったと思ったことはありません\(>o<)ﾉ続きが気になります (2020年10月30日 0時) (
レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
だいふく(プロフ) - どのお話も面白くて可愛くて大好きです！更新楽しみにしてます。 (2020年8月23日 19時) (レス) id: 29daa5366e (このIDを非表示/違反報告)
ARMY52260289(プロフ) - 久しぶりにこんな面白い小説に出会いました。。。一気に読んでしまって勿体なく感じてます(._.)何度も読み返そうと思います！パン屋のレジ打ちさんもとても面白かったです。お気に入りの作者さんに登録させて頂きました。応援してます！ (2020年7月26日 17時) (レス) id: 5305a43fa0 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ほんとに面白くて好きです！更新楽しみに待ってます！ (2020年7月26日 12時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 餡子さん» コメント有り難う御座います！一気読みしてくださってとても嬉しく思います(о´∀`о) またお暇な時にでも見に来てくださったら嬉しいですー！ (2020年7月5日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：からし | 作成日時：2020年6月16日 9時
