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283、思ったよりも堪え性がない ページ38

…………上手くやっているだろうか。

加藤達の元を離れて数分。
既に私は加藤達のことが気になってソワソワしてしまっていた。

流石に覗き見をするわけにはいかないと思い、見るのを堪えてはいるのだが………。
心配だ、凄く心配だ。

「ちょっとは落ち着きなせェ」

頭を軽く叩かれて、私は視線を総悟に移した。
呆れ返ったような表情でため息をついた総悟は、ここでソワソワしたって仕方ねェだろ、と呟く。
勿論、私もそれはわかっている。
わかってはいるのだが………。

「全く、ほれ」

手を広げた総悟に、私は目を瞬かせた。
………何?

「ぎゅーってしやしょう?」

小首を傾げて言う総悟に、胸が締め付けられた。
な、何今の。
ふらりと総悟の体に寄り背中に腕を回すと、総悟も私に腕を回した。
何か今の、なんか凄く可愛かった……?

「ちょっろ」
「?!」

今ちょろいって言わなかったか?!
どういうことだと言おうと思って離れようとすれば、さらに強く腕が回って離れられなくなる。

「こんなにちょろくて俺ァお前の方が心配でィ」
「こ、こうなるのは総悟にだけだから大丈夫だっ」
「俺にだけ?そっかァ、じゃあもっと可愛がってやらねェとな」

可愛が……っ?!

「犬猫みたいな扱いするのやめてくれないか?!」
「してねェよ。恋人扱いしてんの」
「っ」

総悟の言葉に何も言えなくなって、私は顔を総悟の肩に押し付けた。
ずるい、総悟はずるい。

「………好き」

思わず口から気持ちが漏れた。
けどそれも何だかもうどうでも良くなって目を閉じて総悟の体温を堪能する。

「……ん、俺も好きだ」

総悟から答えが返ってくるとは思わなくて、顔をあげた。
物凄く至近距離にいて、ごくりと喉がなる。

総悟の顔がさらに近づいて、ああ、これは何て思いながら目を閉じた。

「………今は無理」

そう言ったのは総悟だった。

また抱きしめられて、私は閉じていた目を開いた。
あれ、いつもだったら接吻する流れ、だと思ったのだが……しないのか?
いや違うしたいとかそういうことじゃなくて、というか誰に向かって言い訳しているんだ私は。

「あー……俺ァ堪え性がねェなァ………」
「何が………?」
「なんでもねェ」

体を離されて、視線を逸らしたままの総悟にのんびり待ちやしょうや、と告げられてうなずく。
………なんか、様子が変だな??

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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:恋愛
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オートミール - こんなに読んで良かったと思ったことはありません\(>o<)ノ続きが気になります (2020年10月30日 0時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
だいふく(プロフ) - どのお話も面白くて可愛くて大好きです!更新楽しみにしてます。 (2020年8月23日 19時) (レス) id: 29daa5366e (このIDを非表示/違反報告)
ARMY52260289(プロフ) - 久しぶりにこんな面白い小説に出会いました。。。一気に読んでしまって勿体なく感じてます(._.)何度も読み返そうと思います!パン屋のレジ打ちさんもとても面白かったです。お気に入りの作者さんに登録させて頂きました。応援してます! (2020年7月26日 17時) (レス) id: 5305a43fa0 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ほんとに面白くて好きです!更新楽しみに待ってます! (2020年7月26日 12時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 餡子さん» コメント有り難う御座います!一気読みしてくださってとても嬉しく思います(о´∀`о) またお暇な時にでも見に来てくださったら嬉しいですー! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:からし | 作成日時:2020年6月16日 9時

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