267、生きる目的 ページ22
部屋の中は大変なことになっていた。
赤信が黒を押さえ込み、青維が銃口を緑遠に向けている。
緑遠はすでに縛られていて身動きが取れない状況のようだった。
部屋の中にあった机や椅子が倒れ、壁にはナイフがめり込んでいる。
………これは黒が暴れたんだろうなあ。
「復帰が早かったですね白。また使い物にならなくなったかと思いました」
「うるさいぞ青維。ちょっと深呼吸していただけだ」
強がりなのはきっとバレているだろう。
それでも青維は追求することなく私から視線を逸らす。
縛られても抵抗もせず、地面を見ていた緑遠の前に私は歩き出した。
総悟が背中を軽く叩いてくれて、頑張れって勇気付けられたような気がした。
「……緑遠」
「……………白、さっきの話、本当なの………？」
目の前にきた私をじっと見つめ、そういう緑遠に私は悩んだ。
ここで嘘だと言っても………、きっと緑遠は信じない。
黒の話は、事実だしな。
迷った後私は小さく頷いて、言葉を発する。
「緑遠には秘密にしようってそう言ったのは私だ。……ごめん」
「謝らないでよ。余計惨めになるじゃない。
………どうして、どうしてお父様を殺したのは自分じゃないって、言わなかったの。
気が動転していた私を可哀想とでも思ってたの」
「一番最初に離反して父上を刺したのは私だ。それは変わらない。
……それに、本当のことを言えばお前はすぐにでも黒に復讐しに行って……、あの時きっと殺されてた」
「………落ち着いてから教えてくれてもよかったじゃない。お父様のことも、あの日のことも」
「緑遠、お前には生きる理由がずっと必要だっただろう？憎しみを糧にして生きているお前に真実を教えるのは……、生きる理由を奪い取ることに他ならないと、そう判断した」
「だから白はチョーカンに頼んだんだよね？自分が警察の駒となって働くから緑には何にも教えるなって」
黒の声に思わずそっちを睨んだ。
そこまでいう必要はないだろう？！
「黒！」
「だって本当のことだもーん」
「連帯責任ってことで全員そうなりましたけど、筆頭は白でしたね」
「俺は暴れられりゃなんでもいいから構わなかったけどな」
「……だから、だから白だけ仕事量が多かったの………？潜入捜査も、裏の仕事も、白だけずっと仕事が多かったのは……」
「Aにも生きる理由が必要だったっつー事だあ」
聞こえた別の声に、私は慌てて扉の方を見た。
……長官。
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オートミール - こんなに読んで良かったと思ったことはありません\(>o<)ﾉ続きが気になります (2020年10月30日 0時) (
レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
だいふく(プロフ) - どのお話も面白くて可愛くて大好きです！更新楽しみにしてます。 (2020年8月23日 19時) (レス) id: 29daa5366e (このIDを非表示/違反報告)
ARMY52260289(プロフ) - 久しぶりにこんな面白い小説に出会いました。。。一気に読んでしまって勿体なく感じてます(._.)何度も読み返そうと思います！パン屋のレジ打ちさんもとても面白かったです。お気に入りの作者さんに登録させて頂きました。応援してます！ (2020年7月26日 17時) (レス) id: 5305a43fa0 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ほんとに面白くて好きです！更新楽しみに待ってます！ (2020年7月26日 12時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 餡子さん» コメント有り難う御座います！一気読みしてくださってとても嬉しく思います(о´∀`о) またお暇な時にでも見に来てくださったら嬉しいですー！ (2020年7月5日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：からし | 作成日時：2020年6月16日 9時
