261、知らない事は罪(別視点) ページ16
緑遠は信じられなかった。
ずっと泳がせていたつもりだったのに、泳いでいたのはお前だとそう突きつけられて。
「で、でも赤はたしかに洗脳できたはずっ!」
影の中で一番の戦闘特化を引き入れられたのだから、それはかなりのアドバンテージになる。
………はずだった。
「まさかあの茶葉にそんな効果があるなんて思ってなかったよー。それは予想外。
でも赤は既に得物の大太刀は奪われてるし、三人がかりで応戦してるから鎮圧されるのも時間の問題だよ?」
「嘘、嘘よ!赤の強さは私がいちばんよく知ってるわ!白が赤をやれるはず……っ!」
「そうだね。赤がちゃんと全力で挑んだら白に勝ち目はないねー?でも忘れてない?
赤は白をすっごく気に入ってるんだよ?」
それは知っている。
だからわざと赤信を選んだのだ。
Aも赤信に懐いていることを知っているから。
「びっくりするくらい手加減してるよ赤。もうお互いそろそろボロボロだろうけどねー」
そう言ってケラケラ笑った黒に、緑遠は怒りを剥き出しにした。
「何がおかしいの!?!」
「んー?なんも知らない緑がすっごく哀れだなって思ってさー」
笑っていた顔はスッと冷え、無表情な顔のまま黒は首を傾げた。
その表情に緑遠は焦りが生まれる。
(……大丈夫。白が赤をやれるはずないもの。大丈夫……)
「トーサンがボク達に何をしてたのか全然知らないで自分だけがかわいそうみたいな顔しちゃってさー。……本当かわいそう」
「っ!黒!!!!」
平手打ちをしようとした緑遠の手をスルリと避けて黒は無表情のまま言葉を続ける。
「ボク達がどんな目にあってたか、知りたい?」
「そんなもの知りたくもないわ!!お父様は私に優しかった!!愛してるって、毎日囁いてくれたわ!それなのに白は、白は!!」
「あ、ちなみにトーサンの首をはねたのは僕だったんだよ?」
その言葉に、緑遠は完全に固まった。
黒が何を言っているのか、理解できなかったのだ。
「……それに緑を愛してたわけじゃないよー、トーサンは。愛してたのはコピーされる前の、トーサンの奥さん……緑架さんの事だよ?」
「……何を、言って」
「ボクが、真実を教えてあげるよー。トーサンが何をしていたのか、トーサンが死んだ日、何があったのか」
座り込んで動かない緑遠を、黒の獰猛そうな青い瞳が映した。
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オートミール - こんなに読んで良かったと思ったことはありません\(>o<)ノ続きが気になります (2020年10月30日 0時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
だいふく(プロフ) - どのお話も面白くて可愛くて大好きです!更新楽しみにしてます。 (2020年8月23日 19時) (レス) id: 29daa5366e (このIDを非表示/違反報告)
ARMY52260289(プロフ) - 久しぶりにこんな面白い小説に出会いました。。。一気に読んでしまって勿体なく感じてます(._.)何度も読み返そうと思います!パン屋のレジ打ちさんもとても面白かったです。お気に入りの作者さんに登録させて頂きました。応援してます! (2020年7月26日 17時) (レス) id: 5305a43fa0 (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ほんとに面白くて好きです!更新楽しみに待ってます! (2020年7月26日 12時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 餡子さん» コメント有り難う御座います!一気読みしてくださってとても嬉しく思います(о´∀`о) またお暇な時にでも見に来てくださったら嬉しいですー! (2020年7月5日 21時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:からし | 作成日時:2020年6月16日 9時