男装パンダは恋を大事にしたい【沖田総悟】6

246、言い逃げは反則技（別視点） ページ1

(起きないAが悪いんだぜ？)
そう思いつつAの隊服を脱がしていく。
厄介なのはこの防具だ。
一つ一つ構造をチェックしながら外して行き、ガコンと金属同士が擦れ合う音とともに外れて。

「いやなにこれおっも。こんなのずっと付けてたのかよ」

その重さに思わず独り言がでた。
かなりの重量があるように感じられて、その防具を両手で敷いた布団の傍に置く。
(つかこの重さ付けて今までずっとあの稽古してたわけ………？え？マジで言ってる？)
密かにもっと訓練頑張ろうと思いながら、総悟はそっと視線をAに向けた。

そうして残るハイネックの服にごくりと息を飲んだ。
ここまで薄着でいるAを見たことはない。
その所為か余計になんだかしてはいけないことをしている気になってしまった。

(……酒臭い服を脱がすだけ。そうそれだけ。Aが起きないから仕方ない)

誰にでもなく言い訳をしながらそっと手をAに向けた。

脱がすために服の中に少し手を突っ込んでゆっくり引き上げていく。
見えたのは肌ではなく黒い生地で、下着以外に何か中に着てるんだなァなんて感想を持った時だった。
Aが閉じていた目を開いて総悟を見つめた。

「………お、はよ？」

思わず挨拶をした総悟に返事をしようとしてお腹に触れている総悟の手に気がついたらしい。
しばらくパチクリと目を瞬かせた後、Aの目がすうっと細くなった。
(あ、なんかやばい)

「……おい総悟。なにしてんだ……？」
「さ、酒臭いって唸ってんのに起きないから……、着替えさせてやろうと」
「…………そういやお酒被ったんだっけ……？？」

そっと手を引き抜き総悟は両手を軽く上空へと向けた。
いわゆる降参ポーズというものである。

「防具……外したの総悟？」
「はいそうです」
「ふうん………、なあ総悟」
「はい」

また前の時みたいに急に怒り出すのかとドキドキしていた総悟は、Aの表情を見て呆気にとられた。

「ありがと、総悟。………好き」
「？！」
「じゃあ着替えてくる……」

部屋を出て行ったAを見送ってから、総悟はぺたりとその場に腰が抜けたように崩れ落ちた。
(…………あああああああぁぁぁ…………。畜生…………)
言い逃げするなんて反則かよ。
そう言って総悟は顔を覆った。

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