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143、医療行為(別視点) ページ45

総悟は完全に風邪をひいていた。
酷い高熱にうなされている総悟の姿を見て、Aは悲しげに目を細めた。

(やっぱり、一緒に行けばよかった……)

後悔したところでどうしようもないことくらいは分かってはいるが、Aはそう思わずにはいられなかった。
寒いと言いながら、体を丸める総悟の姿に胸が痛む。
このマンションには生活用具はほとんど存在していない。
体温計もなければ氷嚢もなく、風邪薬もない。

この状況でAが総悟にできることは暖房をつけて、部屋を暖かくしてあげながら総悟の汗を拭き取るくらいだった。


すっかり夜も更けて、たまに雷の音が小さく聞こえてくる室内。
タオルで総悟の額の汗を拭ったAの手を総悟の手が掴んだ。

「ぅわ……」

びっくりして小さく驚きの声をあげるAに、総悟はうっすらと目を開けた。
ぼんやりとしたその瞳は、熱のせいか潤んでいて息を飲む。

「A………、ずっと、いてくれてたんで……?」
「う、うん……。寒いのはもう大丈夫か?」
「寒ィ。A、あっためて…」
「あ、あっためてって、これ以上どうやって、」
「抱きしめてくだせェ…」
「抱き…っ?!」

咳き込んで辛そうに呼吸を荒げた総悟に、Aはゴクリと息を飲んだ。

(確かに人肌って温かいものだとは思うが……、抱擁は、ちょっと……)

しかし、寒いと訴え震える総悟を見ていたら可哀想に思えてしまい、Aはちょっと待ってろ、とそう言って一度寝室から出て、脱衣所で防具を外した。
防具があると体温は分け与えられないからだ。
そのままだといくら小ぶりとはいえ胸があることがバレてしまうかもしれないので、胸元に包帯をきつく巻いて形を隠し、息を吐く。

(こ、これは医療行為。これは医療行為だから)



寝室に戻ると、丸くなった総悟が目を開いてAをみた。
潤んだ瞳で見つめられて、Aの喉がなった。

「A……、どこ、行ってたんで」
「……まだ、寒いんだよな?」
「寒くて死にそう……」
「わ、わかった」

布団の中に入り込み、総悟の体を震える手でそっと寄せた。

(……あー、あったけェ………)

人肌の暖かさにほっと息を吐いた総悟は、そっと目を閉じた。

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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時

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