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130、近付いて ページ32

一番最初に加藤が入ったのはメリーゴーランドだった。
私たちも少し後ろに並んでそれに乗り込む。
適当な馬に腰をかけようとポールを掴むと、隊長が私を掴んだ。

「え?」
「こっち」

隊長が私を引っ張って入ったのはいわゆる馬車タイプの乗り物で。
……よくわからないがまあいいかと一緒に乗り込む。

「何故隣」
「近いのがいいだろ」

向かい側にも座る場所あるのに、何故わざわざとなりに座るんだよ…。
でも、ちょっと嬉しいからいっか…。

「…本当、分かりやすい奴」
「ん?何が?」
「いーや、独り言」
「…?」

メリーゴーランドがまわりだして、周囲の景色が変わっていく。
その様子を暫く眺めた後、ちらりと隊長を見た。
隊長も私を見ていて、目が合った瞬間ちょっと嬉しそうに笑う。
その顔に思わずどきりとして目が離せなくなった。
……私が、好きな表情。

「……Aは普段俺と距離を取ってるけどさ」
「そう、かな」
「屯所にいても見廻りしてても、二人きりでもお前は敬語だし俺のこと隊長って呼ぶだろうが」

それは確かにそうかもしれない。
どうしても、屯所にいると仕事中、という感じがして。

「俺ァそれが気に入らねぇんでィ」
「そ、そんなこと言われても…。仕事中だしなぁ…」
「お前はもっと肩の力抜け」

そ、そんな事言われても。
ただでさえ狙われている可能性もある、性別も隠してる、影である事も隠してる。
隠してる事や心配な事が多すぎて心があまり休まらないんだよ。
そんな状態で肩の力を抜けと言われても…。

メリーゴーランドが止まり、隊長に引かれて私は馬車から降りる。
加藤の姿を探して少し後ろを歩きながら隊長は言葉を続けた。

「俺ァお前ともっと…近くになりてェ。ちゃんとお前も寄ってこい」

手を引かれて隣を歩かされる。
また私は無意識に数歩後ろを歩いていたらしい。

「…ん、分かった。努力する」
「努力しねぇと出来ねぇのか」

本当不器用な奴、なんて言って隊長は私の手をしっかり握った。

「…総悟、周りから変な目で見られてる」
「気にすんな。ずっと付き合う事だから」

ずっと?


よく分からないまま、次に入ったアトラクションはお化け屋敷……お化け屋敷?!

「そ、総悟やめない?」
「あー、そういやお前幽霊苦手だったっけ」

ニヤリと笑った隊長は、私の手を引きそのままお化け屋敷へと入っていった。
あああああああ……。

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からし(プロフ) - 猫とやぎさん» コメント有り難うございます!勉強大変だと思いますがその活力にこの小説がなれるなら嬉しいです^ - ^ 続編はもう公開してますから空いた時間にでも見に来てくださいね! (2020年5月19日 17時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
猫とやぎ(プロフ) - コメント失礼します!!学校が始まり…帰ってくれば塾…と占ツクあんまり見れてなくて死にそうになってたんですけど、この小説見た瞬間生き返りました…!!続編とても楽しみです!!!頑張ってください!!超楽しみにしてます!! (2020年5月19日 15時) (レス) id: 497823dae0 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 常夏さん» コメント有り難うございます!楽しんでいただけているのなら何よりです!是非続編も宜しくお願いします^ - ^ (2020年5月18日 19時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)
常夏(プロフ) - いつもキュンキュンして楽しませてもらってます! 続編も楽しみです(^^) (2020年5月18日 12時) (レス) id: 3853130063 (このIDを非表示/違反報告)
からし(プロフ) - 猫とやぎさん» 猫とやぎさん、感想をいつもありがとうございます!無事しっかりさせたようで良かったです^ - ^ 明日は更新できない可能性があって今日多めに投稿しましたが、明日も一話くらいはあげられるよう頑張りますね!また見にきてください(*^ω^*) (2020年5月16日 22時) (レス) id: 926dbf1062 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:からし | 作成日時:2020年5月6日 21時

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