男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

119、万事屋の依頼（別視点） ページ21

「どうですかー？変な人います？」

新八の声に、銀時はいや、いねぇなと小さく声を出した。
少し離れた場所でゆっくり歩き続ける二人の周囲には特に不審な人物はいない。
それを見てから銀時は双眼鏡を下ろした。

「いやしかしパンダあいつ化けるなぁ。何あの美形」
「元がいいですからね…」
「でも良いアルか？あんな事させて」

神楽の言葉に、新八はどういう事？と首を傾げた。
たしかに本人は嫌がっていたが、結局最後は仕方ないと折れたのはAの方だ。
それになんだかんだその女性と話は弾んでいるようで、思ったよりも楽しげでもある。

「パンダはクソサドが好きアルよ」
「は、はぁ？！」

新八は叫びそうになった口をどうにか抑えた。

「いや男同士だろ？？何言ってんだ神楽、」
「なんでィ。あいつチャイナにもバレてんのか」
「？！ま、マジなんですか…っ？！」
「本人は隠してるつもりですけどね。バレバレ過ぎて面白いくれぇでさァ」

その言葉に銀時は思わず頭を抱えた。

「色々まずいだろ…」
「余計な事しねぇでくだせェ。今俺が調理してる最中ですんで」
「調理って…な、何してるんですか」
「あ、曲がりやしたぜ。俺らも移動しやしょう」

調理って何？！

万事屋のメンバーの心の声が一つになった瞬間だった。





「……黒髪のメガネ、ちょっと…太ってる方」
「あら、その方ですわ」

ストーカーが引っかかった。
それを一番最初に気付いたのはAだった。
(あんなに殺気立ってまあ…。余程この女性の事が好きらしい)
でも、気持ちは少し分かるなあなんて少し思ってしまっていた。
(私だったら…隊長とこんな美人が一緒に歩いていたら失神しそう…)
思わずその様子をリアルに頭に思い描いてしまった所為で妙にグサッと心に刺さった。
か、考えるな……私。

「何があっても必ずお守りしますから」
「腕に自信がおありなんですの？」
「これでも腕っ節にはそこそこ自信がありますよ」

見えないわ、なんて言って笑った女性の顔をみて少し安堵したAは、周囲を見回し一箇所を指差した。

「少し焚きつけましょうか。あそこで座って……少しオレに任せてくれませんか」
「いいわ。ちょっと楽しそうだわ」

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