男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

112、戦闘狂 ページ14

「…赤信。具合はどう…？」

私の問いに赤はフルフルと首を振ったあと、大きな舌打を一つかました。

「マジうぜぇ。さっさと任務戻りてぇっつーの」
「相当酷そうだけど。包帯だらけじゃないか」
「白もだっただろうが」

赤はその赤い髪を面倒そうにかきあげて、それで、と言葉を発した。

「その後ろの、誰」
「あー、真選組の沖田隊長。今の上司」
「ふーん？コイツが？へーほー…」
「ダメだよ絶対。止めるからな？」

赤は戦闘狂だ。それも敵味方関係なく襲いに行くほどに。
だから剣客と名高い隊長と本当はやり合いたいんだろうけれど…我慢して欲しい。
まだ機嫌悪いんだよこの人超怖い。
このまま本当に友人でもなくなってしまったらどうしよう。

「…パンダ、知り合いで？」
「元同業者。アンタとは一回やり合ってみてぇな」
「俺ァお前みたいなのには興味ねェや。他あたんな」
「チッ」

本当、今は怪我をしていて良かったって本気で思う。
これ怪我してなかったら問答無用で襲いに行ってただろ。

「白いの、お前も真選組に入って鈍ってたりしてねぇだろうな」
「対人戦はしっかりやってるよ。…あんまり喋ると傷に響く」

赤は本当色々と酷い奴だが…私にとっては兄の様な存在だ。
この人が怪我をすれば心配するし、悲しい。

「…ま、お前の事だから大丈夫だろうけどな。ちなみにお前の時は毒盛られた？」
「弱い奴。明らかに挑発してるような解毒剤がある毒だった」
「へぇ、俺の時と一緒だなやっぱり」
「ちょっと待てパンダ。お前毒盛られてたんで？」

あれ？長官から聞いてなかった…のかな。

「ぱんだって…安直なネーミングだなでも悪くねぇ」
「長官から聞いてませんでしたか？今回の敵は毒を使ってくる…」
「おい体は大丈夫なんだろうなァ」
「俺も次からそう呼んでいいよな？呼ばせろよぱんだー」
「赤信別に呼んでもいいから黙ってろ…。とても弱い毒だったようで問題ありません」
「問題あるでしょ、Aさん」

ガラリと入ってきた見慣れた姿に思わず挙動不審になった。
…曙…。

「や、Aさんに赤信さん。それと…沖田総悟さん、ですか」
「…テメェが曙っつー奴か」
「ははは。真選組の方に名前を覚えて貰えるなんて嬉しい限りです。赤信さんちゃんと寝てましたか？」
「チッ」

曙は赤の元までくると、じっくりと包帯や体の具合を見て。
それから私を見てにこりと微笑んだ。

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