男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

113、変態的片想い ページ15

「Aさん。松平様にバレちゃったみたいで電話で文句言われてしまいました」
「す…すみません」

長官なにやってんだ…っ！！
私より先に電話したら話しにくいだろうが色々と！

「でも、僕諦めるつもりありませんから」
「へ」

思わず気の抜けた声がもれた。
…諦める、つもりはない？
手を握られて、その優しげな顔をさらに綻ばせる。

「最初から長期戦覚悟ですし、松平様にどやされるのもわかっていた事です。僕はこの程度じゃ諦めませんから」
「おい手を離せぱんだに触んなエセ医師」

赤が曙の腕を締め上げ、隊長が私の体を引き寄せた。
おかげで曙との距離がかなり開く。
…び、びっくり…した……。

「エセとは失礼ですよ、赤信さん。痛いです」
「パンダ、アイツに近付くんじゃねぇ分かったか」
「え、いや…隊長…」
「無駄ですよ。僕はAさんの専属医です」

確かに曙は専属医だ。
つまりこういう仕事をしていれば必ずと言っていいほど会う事にはなるだろう。

「…曙……」
「僕の長年の想いを舐めないでください。あなたと会う為だけにここまで上り詰めてきたんですよ？」

……ん？
長年？？

「そうだぞぱんだ。お前は知らなかっただろうがコイツはお前に一目惚れしてその為だけに専属医になった変態だ。近寄らねぇ方がいいぜ」
「え…？」
「…パンダもっとこっち寄りなせェ」
「そこの茶髪は…まだいいとしてエセ医師テメェは駄目」
「なんでそんなこというんですか？本当に酷い人達です」

待て待て待て。
ちょっと待て。
…温泉のあの時が初対面じゃない…？？

「そのうちお話ししましょうね、Aさん」
「パンダはもう先約済みでさァ。諦めなせェ」

隊長か私を引っ張り更に曙との距離を開けさせる。
腕が私の体にまわり、心臓が高鳴った。
な、…ち、近い…っ。

「……ほほう成る程略奪愛ですね。構いません受けて立ちましょう」
「受けんなエセ医師」

こ、この混沌とした状況…誰かなんとかしてくれないだろうか…っ。
訳わからなくなってきた。
何、えっと…つまり曙は影である私と会いたいが為に影専門医師になって直接会っても情報を知ってても…消されないようにしてきたという事…？

「パンダ、考えるな忘れなせェ」
「え、いやしかし…」
「どうぞもっとよく考えてください。僕の事を沢山」

曙って、こんなキャラだったか…？
なんかこう、もっとおしとやかというか、のほほんとしていなかったか？

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