男装パンダは恋を忘れられない【沖田総悟】3

99、眠れ…る？ ページ1

隊長の部屋にもう一組の布団を敷いて、私はそこで寝る事になった。
既に隊長は夢の中なのか、アイマスクをしてからすぐに寝息が聞こえてきていた。
………ドキドキしてて眠れる気がしない。
眠くて欠伸は出るのに、目を閉じるとどうしても隊長が気になってしまう。

どうしよう、本当に。

体ごと隊長と逆の方向に向けてはみるが、背後で寝息とか、布の擦れる音がする度にどきっとして目が覚める。

……寝れない、寝れないマジで………。

羊を数えてみる？
羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が、

「パンダ、眠れないんで？」
「ひっ」
「おお、鳴き声上げた…」

急に隊長に声をかけられて変な悲鳴が漏れた。
心臓が更にうるさく鳴り出して思わず胸元を抑える。
…防具が邪魔で届かない。

「あー…全く、意識しすぎでさァ」
「え、いや…その」

幽霊じゃなくて、隊長を意識してしまっているので、隊長と別の部屋になればきっと眠れると思う。
…と声を大にして言いたいが言えない。
だってこれ隊長は一応私を気遣ってくれてるんだよな？
それを無下には出来ないでしょうが寝れないけれど…っ！

「…仕方ねぇ」

背後で布の擦れる音がしたと思えば、がばりと私の布団が剥がされる。
何事だと声をあげる間もなく、隊長が後ろに入ってきて、

…入ってきてっ？！

「た、隊長？！」
「人の匂いがあると安心するんだろ。目つぶって大人しくしてなせェ」

そのうち眠れると言いながら欠伸をした隊長は、すぐに寝息を立て始めた。
………いや逆に眠れないんですが。

暫くドキドキしていてそれどころじゃなかったのだけど、隊長の寝息と、暖かさ、匂いがなんだか心地よくなり、ウトウトとし始めた。

あれ、なんだか眠れそう…。

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